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 常熟・杭州・蘇州古琴行5        秋月

8月26日(日) 杭州の徐元白の催しへ
西湖公園の蓮

常熟から杭州へ、徐元白を記念した催しへ参加するため長距離の小公共(ミニバス)で半日移動
催しは
《浙派古琴大師徐元白先生誕辰108周年曁夫人黄雪輝女士琴藝活動紀念会》
(主催:杭州經濟之声電台、杭州西湖琴社)
という長い名前がついたもの

下午 《徐元白 黄雪輝 浙派古琴遺韵》CD片首發式
たいへんそうぞうしい中でのCD刊行の発布会 香港のレ−ベルROIから出たCDは、管平湖などのそれと同じ体裁の1956年録音音源の史料価値の高いしっかりしたもの

 CD内容:
 disc1:
徐元白《高山流水》(春草堂琴譜)《墨子悲絲》《鴎鷺忘機》《瀟湘水雲》(以上3曲五知斎琴譜)《漁樵問答》(琴学入門)
 disc2:
黄雪輝(徐元白の妻)《白雪》(自遠堂琴譜)《空山憶故人》(理琴軒旧抄本)《秋江夜泊》(大還閣琴譜)
徐元白《漁歌》(五知斎琴譜)《西汵話雨》(徐元白作曲)《思賢操(泣顔回)》(徐元白移植)《普庵咒》(理琴軒旧抄本)
式の後、全体の記念撮影 家元の記念会の趣き

晩 喫茶於大極茶道苑
昨年の喧噪をまたも再現した茶芸館 北京の老琴家、李璠氏と話す機会

8月27日(月) 杭州の雅集と古琴演奏会
西湖公園の蓮

上、下午 琴藝交流 於杭州陸軍療養院多効能廳
劉楊 《樵歌》 揚州広陵派の樵歌
唐世璋 《漁歌》 おしゃべりなどの雑音で中断
梅曰強 吟唱 《秋江夜泊》《孔子読易》
陳成渤 《西汵話雨》(琴簫)
徐暁英 《關雎》
兪伯蓀 《孔子読易》 等…

晩上 《悠揚琴韵――古琴演奏会》於浙江音樂庁
徐匡華(徐元白の子)、徐君躍(徐元白の孫)、陳成渤など西湖琴社の面々の演奏
また呉釗Zhao、兪伯蓀、丁承運、李鳳雲などの演奏
しかし大ホールの音質がよくないのと、常熟のメンバーとほぼ変らないのと、今までの疲れからか、ほとんどsleep
最後の姚公白の《烏夜啼》のみに集中する はじめて聴く姚公白の演奏風格はスリリング
演奏会のあと挨拶した姚公白は、何かに驚いたような眼をした痩せた市井の隠者の感じ

8月28日(火) 蘇州へ 夜の寒山寺

杭州 公園 西汵印社 浙江省博物館
杭州→蘇州(火車)
初めての蘇州 呉門琴社社長、裴金宝宅にて夕食
夜の寒山寺 月夜の寒山寺を案内していただく
夜の運河 裴金宝の楓橋夜泊詩の蘇州方言での吟唱、昆曲中のそれ、楓橋夜泊詩を配した琴曲《秋江夜泊》と3種の楓橋夜泊詩を聴く

 楓橋夜泊       唐 張継
 月落烏啼霜滿天
 江楓漁火對愁眠
 姑蘇城外寒山寺
 夜半鐘声到客船


8月29日(水) 雨の蘇州庭園

雨の朝、寒山寺鉄閣から 雨の朝

ふたたび昨夜、楓橋夜泊詩の旋律を聴いた場所へ
寒山寺ふきんの鉄閣から見た運河の眺め
川沿いにある朽ちた民家が風情ある
へちまの花の黄が目にしみる

西園から歩いて留園へ

留園
留園地図 留園は、明時代の太僕寺少卿、徐泰時の花園
清時代嘉慶年間、劉恕の宅となった時に寒碧荘と改められた
同治十二年盛康の所有となって拡張し留園となった
 (右の地図はCDROM《蘇州園林》江蘇省出版総社刊より
  以下拙政園、獅子林の2点も同じ)


古木交柯(留園十八景の一)
入口の薄暗い廊を曲がりながら入ると小院 女貞と山茶が植えられ、江南庭園建築によく見られる意匠をこらした漏窓(透かし窓)、空窓、洞門 北に開く漏窓からこれから入っていく園が、垣間見える
明瑟楼涵碧山房
雨に煙る留園の可亭 二つの建物が一体となり画舫の船に見立てる 池をはさんで北の築山が見える 二階立ての楼の階上へ上るには、階段がなく、仮山から昇るという 水際に大きな青楓 楓の陰に小軒を隠すため、“緑蔭”と呼ばれる
楼の一階から見た雨に煙る可亭
曲溪楼
幅3mあまりの南北に細長い二階立ての楼 住宅と西の庭園を隔て隠す 曲溪楼の1階の走廊をつたい東北の楼へ
清風池館
蘇軾の赤壁賦の“清風徐来,水波不興”にちなむ、曲溪楼に続き池に張り出した小軒 ここからの藤蔓をからました筑島、曲がりながら続く廊橋、小憧などのある池の眺めもよい
五峰仙館
五峰仙館は、盛康が明の文徴明の停雲館から得た峰石を園内に配置したことにちなむ
揖峰館
五峰仙館の東にある琴棋書画の場所 牛僧儒、李徳裕、蘇軾、倪瓚サンなどの好んだという石が散在するので“石林小院とも呼ばれる
軒外院
“晩翠”という太湖石を中心に“洞天一碧”という亭が対面する小院
汲古得修綆
韓愈の詩から名付けられた蘇州民家を倣った小屋
林泉耆碩之館
鴛鴦式の庁堂 いかにも清時代好みのこみ入った透し彫のある板屏で室内を南北に分ける 北に冠雲峰を眺める

冠雲峰
留園の冠雲峰 宋時代の花石綱の遺物という高さ6.5mの石峰 この石を清時代の盛康が購い、光緒17年に石を中心に築庭した(兪[木越]《冠雲峰賛》) 石の左右に“瑞雲”“岫雲”が並び三峰をつくる 石の前に小峰、石笋、小池と竹などの小さな植込み 背後、北に冠雲楼、東北に冠雲亭、西に冠雲台、南に庁堂、林泉耆碩之館、ここから雨を避け石を眺めることができる 総て冠雲峰を引立てるように設計されている
又一村
建物の外に出、外の庭を北から西に巡る
園の北部は田園趣味 又一村は、南宋の陸游の詩“山重水復疑無路,柳暗花明又一村”からとられている 今まで見た内側の庭の小宇宙と異なり、蘇州という都市の中の田園趣味を醸す 今は盆景(盆栽や盆石)が陳列されている
至楽亭、舒嘯亭
園の西部は山林の野趣 内側の庭とは雲牆(雲形に波うつ塀)に隔てられる 蘇州庭園中最大の仮山という山の上に至楽亭と舒嘯亭が立ち、周りを楓がとりまく
活溌溌地
仮山の東麓にある水閣 又一村から水が流れ下り小湾をつくる
聞木[木犀]香軒
遠翠閣
前の一峰は“朶雲”と呼ばれ、明の文徴明の停雲館の旧物という 方形の牡丹花台の瑞獣レリーフは明代のもの
可亭
小蓬莱
池中にある小さな築山
濠濮亭
亭前に“印月”という石峰があり、池に写った石の孔から月を見ることができる

この日、革の運動靴をびしょびしょしにながら、蘇州の庭園を初めて少しまわって想ったこと

二重の道
回廊式庭園や移動式庭園といったように、庭園は歩み移りながら時間と共に変化する景色を見るのも楽しみの一つ

時間の経過により変化する景観の工夫として
庭園の道には、迷路のようなものがある
行き止まりになった袋小路
けっして直線には行かず、曲がりくねり余白を埋めつくしながら進む道
その間に歩むものの視線は、目標を捜しながらあちこちを見ることになる
時には行きたい所に、たどり着けないこともある

もう一つの時間による景観の工夫として
庭園の道には、漏窓(透かし窓)のある牆(塀)で仕切られ二重に曲がり走るものがある
また廊も牆で仕切られ復廊になったものがある
こうした道は、今歩みながら見た景観を、漏窓から再び眺めることによって、
あるいは漏窓からかいま見た景観を、こんどはさえぎるものなく再び眺めることによって、
しかしまた新鮮な気持ちで二重に味わうことができる


どしゃぶりの中を拙政園へ

拙政園
拙政園地図 大門

〔拙政園東部〕
芙蓉樹 天泉亭 秋香館 放眼亭 倚虹亭
敷地が広く田園庭園の趣き

〔拙政園中部〕
腰門 大門から小道を廻り第二の道門 遠香堂が見える
遠香堂 周敦頤《愛蓮説》の“香遠益清”にちなんだ拙政園の主庁 東に繍綺亭、西に倚玉軒、北に蓮池が広がる
倚玉軒
香洲” 対面に倚玉軒、画舫に倣った前中後の3艙からなる建築
小飛虹” 水に浮かぶ細い柱の廊橋 小滄浪水閣、荷風四面亭を見る
柳蔭路曲”と名付けられた曲廊
見山楼 “別有洞天”から見る
梧竹幽居 中園の東 西に遠香堂、遥かに蘇州のランドマーク、北寺塔を借景にし、南に“海棠春塢”、北に緑[水猗]亭
繍綺亭 仮山の上にある 西に遠香堂に対面
枇杷園 東南にある雲牆で隔てられた小庭園 玲瓏館、嘉実亭、枇杷の樹、冰裂紋の敷石や窓
海棠春塢庭院 繍綺亭の東にある小庭院 黒と白の卵石で海棠の花を作り瓦を地に埋めた海棠花紋の敷石

〔拙政園西部〕
別有洞天” 拙政園の中部と西部を分ける厚い洞門(円形の門)
三十六鴛鴦館 西部の小さな池に面した大花庁 張氏の主に活動した場所 前を“三十六鴛鴦館”、後を“十八曼陀羅花館”に分ける
浮廊 拙政園西部の最も美しい場所の一つ 南の“別有洞天”から北の“倒影楼”まで白壁に漏窓のある廊が変化しながら続く
倒影楼 一階を“拝文輯沈之斎”といい沈州と文徴明を記念している
與誰同坐軒 蘇軾の“與誰同坐,明月清風我”(《点絳脣 杭州》より)にちなんだ扇形の亭 拙政園で気に入った所の一つ 東が水に面し月を眺めながら弾琴するのによさそうな石机がある
笠亭 円形の小亭 三十六鴛鴦館の北
浮翠閣 仮山の上の八角の楼 三十六鴛鴦館の北
留聴閣 李商隠の“秋陰不散霜飛晩,留得残荷聴雨声”の詩句にちなんだ

蘇州博物館を兼ねる忠王府へ 太平天国の素朴な壁画
歩いて獅子林へ

獅子林
獅子林地図 獅子林は、元時代の至正二年(1342)につくられた
むかし元時代の倪瓚サンが画いた庭 今の獅子林の庭は清末民国初の富豪、貝潤生の手が入る
燕誉堂 獅子林の主庁 主人が客をもてなす場所 高い天井、威圧的な空間
小方庁 燕誉堂から北に続く庁 北側の庭院には、九頭の獅子に見立てられた太湖石
“渉趣”“探幽”の磚額のある空間
指柏軒 見山楼 五松楼 荷花庁 真趣亭 暗香疏影楼 石舫 湖心亭 
獅子林の瀧 飛瀑亭 獅子林の瀧
問梅閣 双香仙館 扇亭 文天祥碑亭 御碑亭 立雪亭 修竹閣 臥雲室 




雨の朝、蘇州寒山寺の運河
雨の朝、蘇州運河




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  中国古琴行    2001.9.1写 

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