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    杭州・上海・南京古琴行1
    杭州・
上海・南京古琴行2

 杭州・上海・南京古琴行1            秋月

11月 3-5日 杭州 中日琴学研討会
2日に北京を発ち車中で1泊。翌日からの浙江省芸術研究所、東洋琴学研究所などの主催による2000年中日琴学研討会にオブザーバーとして出席しました。
会の様子について詳しくは東洋琴學研究所のサイトを参照していただくことにして、このページでは会場できままに撮った数枚の写真(カメラの調子が悪く枚数に限りがありました)のコメントや感想を書きとめておきます。(文中敬称略)


 background image:西湖に泳ぐ魚 
           於花港観魚(西湖十景之一) 















琴歌《浪淘沙》演奏 古琴:呉文光、洞簫:戴樹紅、歌:趙暁楠  

11月 3日(金)  
西湖畔に近い花港飯店での開幕式
ひき続き行われた研討会の打譜発表で東皐琴譜から打譜した《浪淘沙》等を演奏する古琴:呉文光(北京中国音楽学院)、洞簫:戴樹紅(上海音楽学院)、歌:趙暁楠(中国音楽学院)
太鼓を打つようなワイルドな奏法で弾かれた東皐琴譜の曲は、こういう打譜もあるのかという意外性と痛快さがありました。

霊隠寺での素菜の昼食  

11月 4日(土)
研討会の中日、古刹霊隠寺での精進料理の昼食
左から陳長林(北京中国科学院)、葉明媚(美国)、呉文光、戴暁蓮(上海音楽学院)

徐匡華による琴簫合奏《平沙落雁》  

同日午後、市内の心源茶楼にて中日の業余の琴家の演奏による古琴の交流
写真は西湖琴社社長・徐匡華による琴簫合奏《平沙落雁》

 同夜、浙江音楽庁にて
 専家による古琴音楽会

 戴微、戴樹紅父子
  琴簫合奏《梅花三弄》
 成公亮《帰去来辞》
 戴暁蓮《烏夜啼》
 丁承運《六合游》
 呉文光、戴樹紅、趙暁楠
  琴歌《竹枝詞》《浪淘沙》
    《酔翁操》
 呉釗Zhao《憶故人》
 龔Gong一《瀟湘水雲》
  折々に絲竹曲が演奏された  
 

浙江音楽庁の演奏会は、広い会場でマイクを使うというハンディこそあれ、若い戴微(上海音楽学院)を除けばそれぞれに年令を重ね風格を増していました。
成公亮は愛琴の唐琴秋籟に人生の音をひびかせ、戴暁蓮は精密さと内省をまし、丁承運は5音階以外の音を意識した打譜に気宇の大きさがありました。呉文光の学に裏づけられた奔放さ。呉釗Zhaoは書斎の雰囲気を会場に持ち込み枯れた味をだしました。龔Gong一は得意の曲で、大会場を締めくくるにふさわしいコントロールされた演奏をきかせました。
北京出発前、このようなメンバーが集まるとは知らず、思いがけない「耳福」の夕べとなりました。

 

11月 5日(日)
最終日午前、場所を杭州市南にそびえる呉山城隍閣に移して打譜研討会
陳長林の《帰去来辞》と東皐琴譜から《漁樵問答》の打譜が聞きものでした。
写真は稗田浩雄(東洋琴学研究所)による《幽澗泉》(東皐琴譜)、右はこの日の主持人(司会)をつとめた呉文光。
他に日本参加者の東皐琴譜打譜発表は、伏見靖(東洋琴学研究所)《帰去来辞》、荒井雄三(北京中央美術学院)《長相思》、栂尾亮子(中央大学)《滄浪歌》、小野美紀子(お茶の水女子大学)《富士》、山寺三知(国学院大学)《子夜呉歌》がありました。

 

昼食を兼ねた閉幕式の後、日本からきた6人と上海音楽学院の先生方を記念撮影
左から山寺三知、陳応時(上海音楽学院)、小野美紀子、斉藤佳郎(茨城県立歴史館)、伏見靖、稗田浩雄、戴暁蓮、栂尾亮子、趙維平(上海音楽学院)

総じて会は古琴の専家の他に張前(北京中央音楽学院)、李民雄(上海音楽学院)、周大風(浙江省芸術研究所)などの音楽学者も参加し、浙江省芸術研究所はじめ主催側の準備もよく、古琴の会としては学術色のこいしっかりしたものになりました。ただ日本からの発表者が旅費を自分で負担して来られているのは、熱意と共に参加の難しさを感じました。そのためか会の主要テーマである東皐心越研究の日本側の第一人者といえる方が来ていないのは残念なことでした。また中国側も東皐琴譜の琴歌研究に長年携わってこられた方が、北京からみえていないのも惜しく次回に期待したいと思いました。










11月 7日(火) 杭州 西湖琴社有志との雅集
会が終わった後も引続き花港飯店に3泊逗留し、西汵[水令]印社、浙江省博物館など書画篆刻の見学調査とアマチュアの琴家の方たちとの交流につとめました。
今回は心源茶楼で印象に残った西湖琴社の若手の方たちとお会いしました。杭州では他に西湖琴社とは別に、5年前の成都の古琴大会でお会いした徐暁英も健在でお弟子さんをもってられますが、限られた日程のなか訪問はかないませんでした。また別にそうした活動には参加しない書斎派ともいえる優れた琴家の方もいるとききます。
この間たんなるオブザーバーの杭州滞在にもかかわらず、浙江省芸術研究所の方たちにはたいへんお世話になりました。ここに感謝の意を記しておきます。

清時代末咸豊年間に立てられ今は公園として開放されている汾陽別墅(郭荘)にて
西湖の畔で《神人暢》を弾く張佳苗
社員300人を数えるという西湖琴社は、このようなうらやましい環境の中でふだんの琴会をもっています。

小雨のため古びて趣きある家具のある室内に場所を換え、左より《流水》を弾く徐君跃[足夭]、陳成渤《大胡笳》、鄭秋琴《長門怨》、北京から同行した橘田勲(中央音楽学院)《平沙落雁》

特に徐匡華の子息、有名な徐元白の孫にあたられる徐君跃[足夭]の演奏は、西湖琴社の顧問である龔Gong一などからも学びしっかりした技術に気勢がありました。すでにお子さんも琴を始められているとのこと。徐一族は4代にわたって琴伝が絶えないことになります。また心源茶楼で日本の《桜花》をアレンジした長い曲を弾いた陳成渤も安定した骨格のある演奏をし、アマチュアといっても技術的な水準が高く根の拡がりを感じさせました。


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  中国古琴行    2000.11.20写 

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