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 平安の彫刻 呪術と土着的なもの 日本的なもの

平安彫刻 木彫の展開
天平 後期 平安  貞観             後期
塑像系 木心乾漆→ 木彫系 一木造り(蓮台まで) 内刳り →寄木造り
国家的
モニュメンタルな宝
私的
写実性   精神性、より強烈な表現
夏目漱石 運慶の夢「眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。」『夢十夜』第六夜
ミケランジェロ 大理石の塊からイデアを彫りだす

平安初期 檀像系
天平後期 753鑑真和上来日 彫檀(檀像を彫る工人)も? 唐招提寺の木彫群
多武峰伝来
十一面観音菩薩立像 A.檀像 1.小像(熱帯の小香木、白檀は貴重)
     2.一材(できるだけ)
     3.緻密
     4.素木(髪、眉、目、唇は彩色)
B.檀像系の彫刻 日本でとれる(かや)などの代用檀材をつかう
       代用檀像は肉身も黄土などで彩色する場合もある
●神護寺 薬師如来立像 170.6cm 9C初 榧一木造 彩色なし,翻波式(ほんぱしき)
  強烈な彫り 密教『七仏薬師経』信仰 道鏡らの呪詛に対抗
●新薬師寺 薬師如来坐像 191.5cm 9C初 榧一木造 彩色なし 
●奈良法華寺 十一面観音菩薩 100cm 840頃 榧一木造 ふっくらした肉付

C.鉈彫・立木系 日本土着の樹木信仰と合体し東日本などに広まる
 09-13C鉈彫り仏(鉈で彫った鑿跡を残したもの)→
 10-12C立木仏(神木を切らずに立ったまま直彫りしたもの) 西日本にも
 〈縄文的なもの〉ゆがみ、異様な相や衣紋、量感の極端な強調
 江戸 円空、木喰上人の木彫へ

平安初期 木心乾漆系
●東寺講堂彫刻群 840年代承和年間 中唐の影響
空海 真言密教の造形 839年開眼供養

広目天───────────────────────────多聞天
│   大威徳─金剛夜叉 不空成就阿閦 金剛業─金剛薩唾   │
│帝釈天 │ 不動 │   │ 大日 │  │金剛波羅蜜│ 梵天│
│   軍荼利─降三世  阿弥陀──宝生 金剛法──金剛宝   │
増長天───────────────────────────持国天
      五大明王     金剛界五仏   五菩薩
      教令輪身     自性輪身    正法輪身

天平の仏堂 東寺講堂
説話的配置→ 抽象的空間(観相のための立体曼荼羅マンダラ)
造東大寺司→ 造東寺司 (天平の伝統と空海の新構想)
●神護寺多宝塔 五大虚空蔵菩薩 100cm 840-45 ふっくらした肉付
蓮華虚空蔵(赤 西)   業用虚空蔵(黒 北)
  法界虚空蔵(白 中央)  
宝光虚空蔵(青 南)   金剛虚空蔵(黄 東)
比較:五行思想の色
 
   
 
●大阪観心寺 如意輪観音菩薩 109cm 840頃 ふっくらした肉付
●広隆寺講堂 阿弥陀如来坐像 264cm 840頃 淳和天皇供養のため
 以上、造東寺司が関わった工房か

平安中期 表面の装飾
894遣唐使廃止
●醍醐寺薬師堂 薬師三尊 176.5cm 913 檜材一木造り
●室生寺金堂 薬師如来立像 234.8cm 10C初 榧材一木造
 面長 流れる衣紋線 漣波式(複翻波式) 彩色板光背 白い輪郭の繧繝彩色
●室生寺金堂 十一面観音菩薩立像 薬師の脇侍 女性的

平安後期 和様彫刻
1052年(釈迦滅後2000年)から末法の世→貴族層に浄土教、来迎信仰の流行
建築や荘厳、浄土式庭園と一体となり平安貴族の美しい夢の空間を現世に
  藤原道長→頼通のパトロン 京都仏師康尚→法眼定朝 
平等院鳳凰堂 阿弥陀如来坐像 ●平等院鳳凰堂 阿弥陀如来坐像 278.7cm 檜材寄木造り
 定朝の唯一の遺作
1053年 完成後2月19日午前2時京都発→12時宇治着
[定朝様の特徴]
1.寄木造り 10C後半から 中国にない技法 工房制作にむく 深い内刳り
平等院鳳凰堂 雲中供養菩薩   割矧ぎ造り 天平時代から 檜、目が通って縦に割りやすい
   ●鳳凰堂 雲中供養菩薩52体 レリーフ+彩色
    北10号の舞う姿など
2.全てゆるやかな曲面 木彫の鋭さを捨てる(実は鋭い形態感)〈弥生的〉
3.軽やかさ 虚の体形(やや猫背、うすい胸) 虚:飛鳥…実:天平、平安初
  →来迎形 ●京都三千院阿弥陀三尊 1148 空中から飛来するイメージ
4.和様彫刻の完成 定朝晩年の様式 院政期にかけ地方にまで流行
[定朝以降]
●法界寺阿弥陀堂 阿弥陀如来坐像 227cm 11C末 パトロン日野資業 定朝様
●浄瑠璃寺阿弥陀堂 九体阿弥陀如来坐像 224-140cm 1047? 1107? 定朝様

平安の驚くべき地方の信仰
鉈彫・立木系の地方彫刻も加え、平安時代の地方に水準の高いものが多い
会津 勝常寺●薬師如来像(中央薬師) 貞観彫刻 欅 量感、厳しい面相
      ●日光・月光脇侍菩薩 天平の面影
      ◎聖観音像 欅一木造
      ◎四天王像 欅 唐招提寺木彫に似て会津風
 徳一760?-835?上人の宗教活動(南都法相宗の僧、会津・筑波を中心とした地方での活動、最澄との「三一権実論争」、空海密教への『真言宗未決文』)の遺産
 会津五薬師 恵日寺(東)、上宇内薬師(西)、野寺薬師(南)、北山漆薬師(北)
平泉 ●中尊寺金色堂 内陣、四天柱絵、諸仏 1124藤原清衡と妻女の発願
角田 ◎高蔵寺阿弥陀堂 ◎阿弥陀如来等諸仏 藤原秀衡女発願
いわき ●白水阿弥陀堂 ◎阿弥陀如来等 1160岩城徳姫(藤原清衡娘)発願
伊豆 横道三十三観音 南禅寺(なぜんじ)薬師如来 平安前期、西法寺、吉田寺 等
佐渡 国分寺◎薬師如来、龍吟寺◎金銅聖観音像、本光寺◎聖観音 平安前期
   長安寺◎阿弥陀如来 平安後期
滋賀 ●向源寺(渡岸寺観音堂)十一面観音菩薩 9C 等、湖北の諸仏
鳥取 ●三仏寺投入堂 11C後半 鳥取県東伯群三朝町三徳山(pdfファイル)
    ◎1186蔵王権現像など6体
大分 ●富貴寺大堂 
(宇佐神宮の神宮寺738弥勒寺 神仏習合 803最澄訪問 天台宗の阿弥陀信仰)
 ◎阿弥陀如来坐像 12C中 榧寄木造 定朝様 常行堂
 ◎内外陣壁画 平安末の貴重な壁画
大分 ●臼杵磨崖仏 平安後期以降 定朝様 院覚の影響? 山岳修験信仰
 古園13体、山王山3体、ホキ第一群4龕25体、ホキ第二群3龕19体
奈良春日山背後の石仏、浮彫 春日山信仰を背景 天平時代の釈迦三尊浮彫も

和様とは
天平国際様式(東アジア)→平安和風様式(日本化)
〈和様〉┌技術的工夫 意匠化 抽象単純化〈弥生的なもの〉
    └素朴還元化 情念化 自然回帰化〈縄文的なもの〉


参考書
水野敬三郎 奈良・京都の古寺めぐり─仏像のみかた 岩波書店 1985年
日本彫刻史基礎資料集成 平安時代 中央公論美術出版 1966-2000年
 造像銘記篇1-8 重要作品篇1-5
日本美術全集 平安の建築・彫刻1 密教寺院と仏像 講談社
               2 平等院と定朝 講談社
平等院大観 1建築 2彫刻 3絵画 岩波書店 1988-92年
平等院鳳凰堂 東方書店 2002年 鳳凰堂内部荘厳のカラーCG再現
大和古寺大観 浄瑠璃寺 岩波書店 1978年
日本古寺美術全集 25巻 集英社 1979年-
久野健 平安初期彫刻史の研究 吉川弘文館
井上正 古仏 彫像のイコノロコジー 法蔵館 1986年
ベルナールフラン 方忌みと方違え 岩波書店
参考サイト
東寺 講堂立体曼荼羅(flash画像)
平等院 阿弥陀如来と雲中供養菩薩の超高精度画像(要Gigaviewプラグイン)
大分の古代美術 1983年刊同名の美術書の全Web版
湯川村文化財 会津湯川村のサイトより
お薦め展覧会
仏像 一木(いちぼく)にこめられた祈り
2006年10月3日(火)〜12月3日(日)  東京国立博物館
 上段でふれた檀像系A,B,Cの仏像を特集 関連サイト:特別展仏像


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 日本美術史ノート 平安の彫刻   2002.5写 

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