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 日本近代の美術 「西洋」という夢、「アジア」という夢

多層化した日本のモデル
参照
多層化した日本のモデル

日本近代美術の問題
1.欧化と国粋の交替
日本近代=西洋化 「和魂洋才」 欧化と国粋の波動周期
A.アジア近代化の表面のキーワード
主体「日本」とは何? 「個」「自我」とは何?
 明治の第1級の知識人は「和魂漢学洋才」
他者の視点 「東洋」「アジア」とは何?
 岡倉天心「アジアは一つ」(逆説的)
┌中国:洋画・国画・書を一家が兼ねる 文人の伝統の延長
└日本:洋画家・日本画家・書家の別 「この道一筋」を美徳とする職人的発想
   例外 水墨画を遺す洋画家 萬鉄五郎、小杉未醒 (放庵)、中川一政
急激な欧化 日本近代の夭折の系譜 時代の痛ましさの象徴
 19世紀西洋に産業革命以降形成された市民社会は、日本にない
B.アジア近代化の裏面のキーワード 「自然」とはなに?
晩年の自然回帰、東洋回帰、日本回帰のパターン 自己の出自が未解決のため
自己の出自を探るためのアジア近代化の裏面のキーワード
 1.思想としての自然:漱石の「自然」
 2.感性としての自然:四季の「自然」
 旧暦(陰暦、太陰暦)と新暦(陽暦、太陽暦)との季節感のズレ
 新暦の採用(実際の風土にそって育まれてきた四季の行事より約1ヶ月早く進行)
  →自然に対する繊細な感性、美意識の鈍化、抽象化

2.「美術」の語彙論、制度論
「日本」「近代」「美術」とは何か、北沢、佐藤らの研究(下記参考書など)
「美術」は西欧から移植された概念(1873年ウィーン万博出品規定に初出)
「美術館」「展覧会」「美術史」近代国民国家「日本」を確立するための制度
公募展と家元制度 どちらも明治以降の近代の産物

3.日本近代美術草創期の問題
フェノロサによる西洋古典「美術」観(19C唯美主義的純粋美学観、高級芸術観。大衆美術、民俗芸能、地方美術などは対象外)による狩野派の評価、文人画の排斥:
文人画は(1)絵画に文学を持ちこむ不純なもの
    (2)描写主題の限定、隠逸幽静の情趣への好み (3)マンネリ形骸化
「之ヲ譬ウルニ、油絵ハ摩機ノ項石ニシテ、文人画ハ其底石ニ等シク、真誠ノ画術其間ニ介リテ連ルニ磑碎セラレルガ如シ。」『美術真説』1882
1887年明治二十年東京美術学校 (現在の東京芸術大学美術学部)の日本画科設立にあたって文人画と書は除外され、現在に至る
(関西では比較的、文人画尊重 日本文化の東西問題 西の伝統−東の進取)
(日下部鳴鶴ら書道界側からの芸術化拒否 書は君子による神聖なもの)
(参照:1882年書ハ美術ナラス論争
 近代化を進める美術界側から書を位置付けようとする、日本で初の試み
  →書とは何かという本質論には踏み込めないまま現代に至る
 書道界側は無視、中国最先端の清末六朝北碑書、金石趣味の流行へ動く)
現在の水墨画の水準の低下、書と共有する筆力の低下
中国書画とその歴史に対する理解は明治以来最低
アンバランスの是正(制度の内)→案:美大日本画科の入試に水墨画を含める
     中学音楽に邦楽を取入れたように洋画と写生偏重の美術教育の改革
         (制度の外)←日本、アジアの見直し、中国の台頭

4.作品評価の問題
時代の相対評価から 明治から100年たった 歴史上の評価が可能
評価基準は? 評価する主体は誰? 評価される「作品」とは何?
評価のための基礎作業:作品・作家研究、作品目録カタログ・レゾネ
 材料技法と保存修復への理解(手製材料から既成品へ)
公の評価 国の文化財保護制度の問題
公私のコレクションの「国宝」「重文」指定 作品保護と流失防止
 皇室のコレクションは除外 天皇を中心にした制度が残存
 外国人(アジア圏)の作品も国宝 外国にある作品(ボストン美など)は指定外
国内と欧米での評価のギャップ
 国内評価は作品自体の価値以外からも 特殊事情は国外では通用しない

さあ次では「選ぶ」という評価にチャレンジしてみましょう

日本近代絵画10選(明治大正
「西洋」という夢
高橋由一1828-1894  ◎1877《鮭》 東京芸術大学
浅井 忠1856-1907   1905頃《白川》など晩年の水彩風景 東京国立博物館
青木 繁1882-1911夭折◎1907《わだつみのいろこの宮》 ブリジストン美術館
岸田劉生1891-1929夭折◎1915《切通しの写生》 東京国立近代美術館
中村 彝1887-1924夭折◎1920《エロシェンコ氏の像》  東京国立近代美術館
次点:
川村清雄1852-1934   1899《形見の直垂》 東京国立博物館
藤島武二1867-1942   1926《芳蕙》 個人蔵
「アジア」という夢
菱田春草1874-1911夭折◎1909《落葉》屏風 永青文庫
       参照:《落葉》連作 滋賀県立近代美術館 福井県立美術館
上村松園1875-1949関西 1918《焔》 東京国立博物館
村上華岳1888-1939関西◎1919《日高河清姫》 東京国立近代美術館
竹内栖鳳1864-1942関西◎1924《斑猫》 山種美術館
速水御舟1894-1935夭折◎1925《炎舞》 山種美術館
次点:
狩野芳崖1828-1888  ◎1888《悲母観音像》 東京芸術大学
富岡鉄斎1836-1924関西◎1913《阿倍仲麻呂明州望月円通大師呉門隠棲》屏風 辰馬考古資料館
横山大観1868-1958  ◎1923《生々流転》巻 東京国立近代美術館
鏑木清方1878-1972  ◎1927《築地明石町》 個人蔵 版画版
 10点に収めるのは難しい あなただったら10選をどう選びますか



参考書
日本美術全集 全20巻 小学館 2012-2016年(刊行中)
 16巻 激動期の美術(幕末から明治時代前期)
 17巻 前衛とモダン(明治時代後期〜大正時代)
 18巻 戦争と美術(戦前・戦中)
 19巻 拡張する戦後美術(戦後〜1995)
 20巻 日本美術の現在・未来(1996〜現在)
高階秀爾 岩波日本美術の流れ6 19・20世紀の美術 岩波書店 2000年
佐藤道信 〈日本美術〉誕生 講談社 1996年 講談社選書メチエ

日本美術全集 講談社 -1994年
 近代の美術1 江戸から明治へ 高階秀爾/小林忠編 1991年
 近代の美術2 洋画と日本画 高階秀爾/陰里鉄郎/田中日佐夫編 1992年
北澤憲昭 眼の神殿 「美術」受容史ノート 美術出版社 1989年
高階秀爾 日本近代美術史論 1980講談社文庫 1990年 講談社学術文庫
岡倉天心全集 平凡社 1981年(1994年) 日本近代美術草創期の思想家
 『茶の本』は岩波文庫、講談社学術文庫などにも翻訳がある
参考サイト
芸術書雑録 近代美術史料集など
岡倉天心の世界 『茶の本』のweb訳
文化庁 以下は下位サイト 文化財 国有財産の活用 文化審議会・懇談会等
展覧会
近代の東アジアイメージ 日本近代美術はどうアジアを描いてきたか
2009年10月10日[土]−12月27日[日](後期11月17日[火]−) 豊田市美術館
朝倉彫塑館 名勝・登録有形文化財 
台東区谷中にある1935年改造の朝倉文夫邸とアトリエ、大正昭和初のタイムカプセル 周囲も個人住宅なので写真撮影等禁止




明治の写実
大正の個性

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 日本美術史ノート 近代の美術   2003.1写 

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