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 中央美術学院 山水画室 太行山写生旅行




9月29日(土) 雨  懸崖の箱庭─凍凌背

午前、雨なので大王台に登る予定をまた止め、劉老師など希望者10数名で凍凌背に行く
凍凌背は1個所に美しい景観がとりまく小天地
太行山の一支脈 太行山の民家 宿舎から数分で凍凌背バス停着(小公共1元)
ここから大きなものは数メートルの石がごろごろしている水のない河原状の所を上る 劉老師など石の写真をたくさん撮る 作品の材料と研究のためか、少々マニアックな感じ 今滞在している嶂石巌一体の赤地に白の縞模様の層がある石とは石質が違い、凍凌背のももはより硬く緻密 層状のものは少なく、赤地のものが主だが、灰、青灰、白色なども混じる
石の河原から左に折れ農道に入る この辺り標識がなく道が判りにくい
08:30凍凌背雅趣門
仙人洞 子母洞 池の手前 ここからの道は一本道で判りやすい 右の崖に仙人洞を見、左に子母洞を過ぎる これは太行聖母を祀る 石の壁でせき止められた池の手前で左に折れ、急な石段を崖の中腹まで少し登ると
雲中舞庁からの眺め 雲中舞庁から双児峰 聳え立つ峰 09:00雲中舞庁
崖の中腹が平台になっており、雨は上方を覆う崖でさえぎられる この辺り池を中に挟み、周囲を古びて風化した崖が取り囲み、崖からはわずかな紅葉もまじえた樹が繁茂し、懸崖の箱庭のような景観を造り出している
対面する崖には雲中舞庁の平台と同じ高さに側道が巡り、向こう側に着くと細くまばらな滝が池に落ちている
玉瀑落湖
滝の裏の崖際の簡単な社に道教神が3体祀ってある
雲中舞庁、右に聳え立つ岩 池に降りる石段の上からの雲中舞庁、右に聳え立つ岩も美しい 紅葉が始まっており、10月初め、国慶節の頃に紅葉の盛りになるだろう
10:30下山 小公共に待ち時間無しで乗れる
11:50宿舎着
午後3時間ほど午睡の後、外に出ると雨が止んでいる
土地のおばさんから何首烏1個3元、柘榴5元を買う
何首烏 何首烏(ツタドクダミ)は、大きな里芋のような外観の薬草の一種、これを適当に切りさらして、水に入れて飲むと、白髪が黒くなるという 偽物もでまわっているという
16:30散歩
宿舎の裏、九女峰へ向かう路の途中、九女峰度假村(電力賓館)前の白佛の碑のある石段を昇る 途中に紅葉、頂上に“飛来”の碑 嶂石巌の山々、九女峰の峰々がパノラマで一望できる
山々は頂上が雲で掻き消え、下の崖は夕暮れの曇天の光に、水墨画のようなモノトーンで遠望できる 獅子峰等の景観もはっきりと見える
山下の森から雲煙が垂直に立上がる ある時は龍が変化して正体を現わすように、ある時は仙人が仙化して空に昇るように
真に壮観 しかしカメラの用意もなく眼に焼きつけるのみ
18:00下山する時には、風がざわめきパノラマの遠望も闇に覆われてきた

晩 班長に残りの費用を清算する 今回の写生旅行の総費用:420元
明朝、早いので打上げもアルコールもなく修業者のような日々として結束

9月30日(日)  帰路 とんだおち

06:50嶂石巌 九峰楼酒家発(ミニバス)
09:40石家荘站着
11:08石家荘站発(火車40元)
14:10北京西站着
15:30美院留学生楼着(タクシー56元)

帰りの北京行きの列車の中
昼のカップ麺をみなが食べ、この写生旅行も無事に終わるかと想っていた頃、前の座席でさわがしい音 中国人にしては珍しく高いヒールをはいた子連れの若い女性の頭を、荷物がいっぱいの棚につんであった画板がかすめ落ちた(そうだ 私には見えない位置)
これからがたいへん
女性は途中の駅でおりるはずの所を、列車長まで呼び賠償を要求 画板の持ち主の張教授、ほか年輩の同学が何人か説得にあたるが、とうとう北京駅に着き警察の立ち会いのもと400元を張教授がはらって結束
駅のプラットフォームには、100人ほどの北京に出稼ぎに来た無許可滞在の外地人(地方在住者)が後ろ手にすわらされ、ある者はズボンのバンドを首にかけられていた 北京、上海などの大都市と地方の経済格差が激しいため、地方からの職捜しは制限されている 特に国慶節前のこの時期、身分証明がなく北京に不法滞在している者への、警察のチェックは厳しい それは学校の外に許可なく住んでいる留学生も同じ
今まで私たちが乗っていた当の車両に、警察に足蹴にされながら外地人たちが乗りこんでいった
いずれも日本にはない見聞

400元は、国慶節後の授業開始の日、列車に同席しためいめいが25元を集め張教授に負担した


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9月16日(日) 出発 水墨画の写生ための用具
  17日(月) 嶂石巌散策─蛇岩など    
  18日(火) 塔の岩の写生 王一明    
  19日(水) 水墨技法─積墨法のし方   
  20日(木) 《淮泉寺記》        
  21日(金) 嶂石巌散策─大王台     
  22日(土) 峰廻路転写生1日目─秦お爺さんと黒   
  23日(日)       2日目─小虫が大発生    
  24日(月)       3日目─嶂石巌路起伏多   
  25日(火)       4日目─嶂石巌の音     
  26日(水)       5日目─蝋燭の明かり、深い闇
  27日(木)       6日目─客人        
  28日(金)       7日目─写生結束      
  29日(土) 懸崖の箱庭─凍凌背     
  30日(日) 帰路            




 北京信息   2001.10.2写 

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