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 室町時代の絵画1 水墨画の展開 禅宗絵画

日本の水墨画のはじまりの特殊さ
1.日本に入ってきた中国の水墨画の特殊さ(参考:『仏日庵公物目録』1363)
 1.南宋禅余画          牧谿、玉澗    ┐
 2.南宋院体画          梁楷、馬遠、夏圭 ┘宝物
 3.同時代の地方画 ┌寧波ニンポー仏画
  (元明)(浙江) ├常州花鳥画 無名の画家 草虫図など
           └浙派山水画
  中国絵画史の中で特殊な作品 禅僧がもたらす
2.水墨画が禅宗と密着する特殊さ 禅寺の生活空間 高度な精神的鑑賞空間
 書院 詩文の創作享受 五山文学の興隆
 床の間(室町時代には押板) 水墨画、詩画軸、墨跡 (禅僧の書)の鑑賞
 飾棚 唐物の賞玩
 枯山水の石庭 自然との対話

唐物崇拝
パトロン:将軍、武士、公家、禅僧
 南北朝、佐々木道誉のばさら→北山、東山のサロン化
画家:禅寺┌禅余画家(アマチュア) 水墨画の先端 へた
     └専門画僧(プロ)    明兆
   幕府┌御用画師(半僧半俗)  如拙、周文
     └同朋衆 (半僧半俗)  時宗の阿弥号 マルチタレント
        戦時の医療
        平時の芸能 唐物:能阿弥、芸阿弥、相阿弥、千阿弥
              茶 :能阿弥、芸阿弥、相阿弥、千阿弥
              立花:立阿弥、文阿弥
              能楽:観阿弥、世阿弥
              田楽:道阿弥
              作庭:善阿弥
              連歌:頓阿、善阿
唐物の特殊な飾付け 『御飾記』1437 室町殿の飾り 書院造りの完成
君台観左右帳記から      『君台観左右帳記』1.中国画家の品等
(くんだいかんそうちょうき)2.座敷飾りの方法
              3.唐物器物の説明
      中国明代文人趣味の模倣 壁画に絵を架ける
      日本趣味 非シンメトリーの好み

日本の水墨画のはじまり
京都 旧仏教が根強い 彩色仏画(十六羅漢図、十王図など)
鎌倉 禅宗とともに水墨画がもたらされる
日本禅僧の留学 栄西、道元
中国高僧の渡来 蘭溪道隆-1278 建長寺1250
中国禅宗絵画の優れた水墨画:
 宋末元初13C後 牧谿 杭州六通寺の僧、禅余画家
 ●観音三幅対 大徳寺(最初鎌倉にもたらされる)

日本初期水墨画の3段階
14C前 第1世代水墨画 道釈人物画
   散聖図禅会ぜんえ(寒山拾得、布袋など)←→頂相(祖師像)
 良全 ◎如意輪観音図 絹本墨画淡彩 東京国立博物館
 可翁 ◎蜆子和尚図 東京国立博物館
    ◎竹雀図 大和文華館
 黙庵 嘉暦年間1326-29元に渡り浄慈寺に住し「牧谿の再来」と謳われる
    元統元年1333-至正3年1343頃本覚寺の了庵清欲の下で蔵主
    ◎四睡図 前田育徳会 →比較:元1351前◎四睡図 東京国立博物館
    ◎布袋図 月江正印賛
    ◎布袋図 了庵清欲賛 MOA美術館
14C後 第2世代水墨画 花鳥画  3代将軍義満 北山 金閣
   絵分(『仏日庵公物目録』 四君子梅蘭菊竹、牛猿雁など) 
 愚恵 葡萄図 →比較:元 葡萄垂架図 東京国立博物館
 鉄舟(万寿寺) 蘭石図 自賛
 玉畹梵芳(南禅寺) ◎蘭專ッ芳図  東京国立博物館
 頂雲霊峰 墨蘭図 MIHO MUSEUM
 吉山明兆1352-1431 ◎白衣観音図 東福寺
    ◎蝦蟇、鉄拐図 東福寺 →比較:元 顔輝 蝦蟇、鉄拐図
15C初 第3世代水墨画 山水画  4代将軍義持 禅に傾倒
   日本的な水墨画のはじまり ディレッタンティズム、文人趣味

詩画軸
形式 詩画軸 中国文人の詩画一致の思想、しかし詩>画(画家名をふせる)
主題 書斎軸 山水に包まれた文人の書斎を理想化 書斎図
   送別軸 文人の送別を記念する 送別図

●柴門新月図 1405応永十二  藤田美術館 杜甫の「南隣」詩の絵画化
◎芭蕉夜雨図 1410応永十七 東京国立博物館 太白真玄等十四名賛 南禅寺
●溪陰小築図 1413応永二十頃 南禅寺金地院 伝明兆 書斎軸
帰郷省親図 1418応永二五以前 常盤山文庫 卾陰恵奯、他十三僧 送別図
◎聴松軒図  1433永享五以前 東京 静嘉堂文庫美術館 書斎軸

如拙
 相国寺の僧、足利幕府御用画師
●瓢鮎図ひょうねんず 1413-15頃 京都退蔵院
  主題 禅機図(悟りの機となったテーマ) 京都高僧31人による連歌風の詩
  様式 中国南宋院体画のスタイル“新様”(cf.「新しい禅のテーマ」芳澤説)
  大相公義持のため、探玄の間の座右の小屏
◎王羲之書扇図 大岳周崇、惟肖得巖1430賛 京都国立博物館

周文
字 天章、号 越渓 相国寺の禅僧、画僧 東班都管つかんの役
師の如拙の後を継ぎ御用画師に
1423-4応永三十 幕府の使節とともに朝鮮へ
永享年間1429-41 仏像彫刻や彩色、花鳥画も 大画面構成の一典型を創造
1454享徳三頃まで活動
一説に1458年雪舟に奥義を授ける
1463寛正四 小栗宗湛が幕府御用画師となる以前に活動を止める
 弟子に雪舟、岳翁蔵丘、墨溪 (兵部)、文清など
[伝称作品]
南宋院体画風の余白をとった瀟洒な水墨山水
高士隠逸の理想と禅の境地とを重ねた枯淡で象徴的な画境
周文筆とされるものがたくさんあるが確実なものは一つもない
詩画軸:
◎三益斎図  1418応永二五 静嘉堂文庫美術館 玉畹梵芳の序
◎江天遠意図 1419応永二六以前 根津美術館
帰郷省親図 1418応永二五以前 常盤山文庫 卾陰恵奯、他十三僧の賛
◎陶道明聴松図 1442嘉吉二 山梨県立博物館 天与清啓賛
●水色巒光図 1445文安二 藤原有三旧蔵 奈良国立博物館
●竹斎読書図 1446文安三年以前 東京国立博物館
 序:竺雲等連1383-1471、題詩:江西龍派1374-1446、心田清播1375-1447、東沼周曮1391-1462、瑞巖龍惺1384-1460、希世霊彦1403-1488 「瑞龍の記室、杲(こう)公廼ち東禅の高弟」(?正宗龍統1428-1498)のために作られた書斎図
 蜀山図 静嘉堂文庫美術館
大画面:
◎四季山水図屏風 静嘉堂文庫美術館、大和文華館、前田育徳会、真宗大谷派名古屋別院、東京国立博物館など

[周文様]
詩画軸、書斎軸 南宋院体様(馬遠風の松) コントラストの強い墨 繊細なタッチ

周文以降の画家
岳翁蔵丘-1517 ◎山水図 東京国立博物館
 ◎山水図 仙台伊達家→東京国立博物館 天隠龍澤題詩
天遊松谿 アカデミック
 ◎湖山小景図 1465以前 藤井明→京都国立博物館 翺之慧鳳の湖山小景記
大徳寺派(一休宗純 反アカデミック)
文清(=蛇足?) ◎維摩居士像 1457年存畊祖黙賛 大和文華館
墨溪 1465年◎達磨図 110.6×58.2cm 大徳寺真珠庵
夫泉宗丈(曾我式部) 1491頃◎大徳寺真珠庵山水図襖絵 「蛇足軒」


参考書
米沢嘉圃 日本に入った中国絵画 原色日本の美術29請来美術 小学館 1972年
水墨美術大系 全12巻 別巻2 講談社 1977年
相阿弥/村井康彦訳 君台観左右帳記;御飾書 世界文化社 茶の湯の古典1 1983年
禅林画讃―中世水墨画を読む 島田修二郎/入矢義高監修 毎日新聞社 1987年
島尾新 如拙筆 瓢鮎図 ひょうたんなまずのイコノロジー 平凡社 1995年
島田修二郎 日本絵画史研究  島田修二郎著作集 中央公論美術出版 1993年
能阿弥、相阿弥 君台観左右張記 室町 国会図書館蔵明治有鄰堂本
 1.晋元の中国画家 2.書院座敷飾 3.唐物鑑識、配置法
参考サイト
花園大学国際禅学研究所 芳澤勝弘『瓢鮎図・再考
            『五山文学全集』データベース
展覧会
特別展「東山御物の美―足利将軍家の至宝―」
2014年10月4日〜11月24日 三井記念美術館
由緒ある至宝ばかりの東山御物(ごもつ)の中国絵画と工芸品による展示
細かい展示替えあり 詳細は→出品目録
11月18日〜11月24日徽宗 桃鳩図など
おすすめ拝観
鎌倉、京都などの大寺院の年に一回の虫干し(風入、曝凉)の時に、ふだん非公開の書画を間近に見ることができます
円覚寺 宝物風入
2010年11月3日(水)〜5日(金)
風入れは毎年、文化財を虫干しを兼ねて展示するもの
寺蔵文化財数百点、国宝舎利殿も正面特別公開
時間:午前9時から午後4時まで(最終日3時半まで)
風入拝観料:大人500円 ※風入拝観料は一般拝観料とは別
◎南宋12C伝張思恭 五百羅漢図 絹本着色33幅
 元 牧溪 水月観音像 絹本墨書
 元 牧溪 蘆葉達磨図 絹本墨画
 元 伝牧溪 蘆葉達磨図 環溪讃 絹本着色
 元 牧溪 岸樹遊猿図 紙本墨画
他に◎北条時宗書状、◎無学祖元書状、◎青磁香炉、◎酔翁亭図香盆、◎仏涅槃図、◎跋陀婆羅像、◎県文・伝兆殿司十六羅漢図16幅、◎無学祖元木印、など(変更あり)
建長寺 宝物風入
2010年11月3日(水)〜5日(金)
時間:午前10時から
風入拝観料:大人500円 ※風入拝観料は一般拝観料とは別
●南宋 大覚禅師(蘭溪道隆)法語規則 紙本墨書 2幅
◎南宋 大覚禅師諷誦文 紙本墨書 3幅
◎南宋 大覚禅師筆金剛般若波羅密経 紙本墨書 1帖
●鎌倉 蘭溪道隆像 自賛 絹本淡彩
◎南宋12C伝張思恭 釈迦三尊像 絹本着色 宝冠釈迦・文殊・普賢
 南宋12C伝張思恭 白衣観音像 絹本着色
 南宋12C伝張思恭 朱衣達磨像 絹本着色
 南宋12C伝張思恭 釈迦三尊像 絹本墨書 猿猴図二幅と三幅対
 南宋 無準師範墨跡『菩提』 紙本墨書
 元 伝牧溪 猿猴図 絹本墨書2幅
 元 蓮華図 絹本着色2幅 箱蓋:蓮華絵式幅顔輝筆建長寺西来庵
 明 陳淳 牡丹図 絹本着色 伝沢庵宗彭寄進
 関羽像 隠元和尚賛 紙本着色
他に◎伝明兆十六羅漢図8幅、◎賢江祥啓水墨三十三観音図32幅、伝顔輝筆十六羅漢図16幅など(変更あり)
大徳寺本坊 曝凉展
 毎年10月第2日曜日9日9-15:30頃 探幽障壁画のある方丈に、牧溪観音三幅対など約100点の寺宝を虫干しを兼ね公開
2010年10月10日(日) 拝観料1,300円
大徳寺高桐院 曝凉展
 細川忠興(三斎)の創建。国宝・南宋初期「高桐山水図」2幅などを公開
2010年10月10日(日) 拝観料500円
妙心寺本坊 曝凉展
 毎年11月3・4日9-16頃 探幽・益信障壁画のある方丈に屏風等を虫干しを兼ね公開



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 日本美術史ノート 水墨画の展開 禅宗絵画   2002.9写 

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