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 中国絵画史ノート 宋時代 牧谿と逸格水墨画

逸品(逸格)とは 絵画の評価基準
南斉 謝赫 『古画品録序』 品第   第1品-第6品
唐  李嗣真『書後品』   品書家 
   張懐瓗『書断』    三品   神品 妙品 能品
晩唐 朱景玄『唐朝名画録』 四品  ┌神品 妙品 能品
                  └
五代 黄休復『益州名画録』 四格   格 神格 妙格 能格
元  夏文彦『図絵宝鑑』  三品   神品 妙品 能品

逸品画風について(島田修二郎1950)
1.粗筆による水墨技法(毛筆にこだわらない) 輪郭にこだわらない 
2.簡略な描写
3.形似にとらわれない
4.特異な風格、模倣しにくい
5.墨戯 酔作 パフォーマンスをする場合もある

逸格水墨画の系譜
中唐8C後半:江南の溌墨画 山水 →逸品(朱景玄『唐朝名画録』)
五代:蜀 逸格水墨人物画家 →狂逸 孫位(黄休復『益州名画録』北宋初)
 ◎伝 石恪《二祖調心図》 東京国立博物館 コピー
 ◎伝 禅月大師貫休《羅漢図》 根津美術館 南宋末(鄧椿『画継』南宋初)
 人物画にも水墨技法が取り入れられる
 ┌粗筆人物画“顔面細筆、衣紋粗筆” 粗い水墨の新画法←呉道子の白描画
 └彩色大画面の道釈人物画 “九朽一罷(きゅうきゅういっぴ)丁寧な伝統画法
北宋末: →北宋末から南宋にかけての文人画の動向も参照
李公麟の白描人物画 水墨小画面の鑑賞人物画 紙  ←六朝 顧愷之の白描画
 《五馬図巻》 京都個人
南宋:
前期12C後 禅余画家 智融 “罔両画” 極端な淡墨 目鼻口に濃墨
 ●直翁《六祖挟担図》 大東急記念文庫 霊隠寺偃谿広聞1189-1263賛
中期13C初 画院画家 梁楷 “減筆体” 禅僧との交友+画院のテクニック
末期13C後 牧谿、玉澗をはじめ禅林圏での流行 
元:
元末四大家のうち倪瓚 蕭散体のスタイルが逸
方従義 元末、龍虎山(江西省)の道士 米法山水 粗放な筆墨
明:
陳献章1428-1500 新会(広東省)の思想家、書家 “茅筆字
徐渭 紹興(浙江省)の文人 狂逸な生涯 花卉雑画 粗放な筆墨
清:
八大山人 南昌(江西省)の明の王族 禅僧に韜晦の生涯 

牧谿法常
[生涯]
宋末元初の禅僧画家 蜀(四川省) 人 無準師範(仏鑑禅師1177-1249)の弟子
元の蜀侵入により南下か 杭州を中心とした禅余画家として活躍
西湖六通寺の開山
南宋末1267年以降?宰相賈似道の怒りにふれ越 (浙江省) の丘氏に逃れた
至元年間1264-94没(呉太素『松斎梅譜』元末)
[作品]
道釈人物、龍虎猿鶴、山水、樹石、花卉雑画など 江南の溌墨を取り入れ描く
“不曾設色,多用蔗滓艸結”(甘蔗のしぼりかすや藁筆)
空気と光に対する感受性
中国批評家からの毀誉褒貶「粗悪」「古法無し」、文人の理解者
おびただしい数の作品が日本に伝世(多く室町江戸の偽)
1.人物画、花鳥画
中期:
◎《蜆子和尚図》 日野原家 偃谿広聞の霊隠寺住持時1254-56の賛
 《松に叭叭鳥図》 摂津家
◎《龍虎図》2幅 絹本 大徳寺
◎《羅漢図》 絹本 静嘉堂文庫美術館 義満「天山」印
晩年:
●《観音図》三幅対 172.2×97.6cm絹本 大徳寺 仏毋の主題
 鶴図の粗い竹は、南宋末禅宗圏の墨竹の例
 猿図と◎長谷川等伯《古木猿猴図》16C龍泉庵の比較 日本人が理解した牧谿
2.花卉雑画 明沈周、呉派文人画の花卉画へ
◎《芙蓉図》 総見院 
◎《柿図》《栗図》 龍光院 元のコピー?
 《写生蔬果図巻》47×814cm 北京故宮博物院 コピー 明の沈周跋
3.山水画
●◎《瀟湘八景図巻》 大軸、小軸断簡
[影響]
元代 蘿窓など追随画家 明代以降 花卉雑画巻の流行
日本水墨画壇、長谷川等伯、俵屋宗達らへ多大な影響 〈和尚〉と愛称



参考書
世界美術大全集 東洋編6 南宋・金 嶋田英誠等編 小学館 2000年
牧谿─憧憬の水墨画 五島美術館 1996年 牧谿展カタログ
鈴木敬 中国絵画史 中之一 吉川弘文館 1984年
島田修二郎 中国絵画史研究 中央公論美術出版社 1993年 島田修二郎著作集
基本史料
宋 鄧椿 画継 煕寧七年(1074)から乾道三年(1167)までの画史
 歴代名画記、図画見聞誌に続く中国絵画の基本史料 元 荘粛に画継補遺
元 湯垕 画鑑 1330頃 米芾の影響の強い絵画批評
元 夏文彦 図絵宝鑑 1365序 至元二年(1336)までの1500余人の画家の略伝
元末呉太素/島田修二郎校註 松斎梅譜 広島市立図書館編 1988年
能阿弥、相阿弥 君台観左右張記 室町 国会図書館蔵明治有鄰堂本
 1.晋元の中国画家 2.書院座敷飾 3.唐物鑑識、配置法
おすすめ展示会
大徳寺曝涼
毎年10月第2日曜頃(体育の日頃)、本坊にて牧谿「観音」三幅対、陸信忠「十王図」、林庭珪・周季常「五百羅漢図」などを含む寺宝約100点を公開
高桐院では李唐「山水図」対幅を公開
泉屋博古館東京分館《開館記念展》
10月25日 〜 2003年2月2日(12月11日展示替)(終了)
世界的に著名な住友コレクションから中国古銅器と中国絵画の展示
伝閻次平「秋野牧牛図」漸江「竹岸廬浦図巻」石渓「報恩寺図」八大山人「安晩帖」石濤「黄山八勝画冊」石濤「廬山観瀑図」石濤「黄山図巻」沈銓「雪中遊兎図」など
入館料:一般500円、学生300円、小学生未満無料







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 宋時代 牧谿と逸格水墨画  2002.10.10作成 

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