明 1368-1644という時代
朱元璋(1328-98)による統一 参考:南薫殿の明太祖怪異肖像
漢民族の統一王朝┐
都市商業の発達 ┘矛盾→近世的性格┌都市型文人(売画) 粋 詩書画一体
└商人のバイタリティ 俗 平明さ
漢の伝統の百科全書的総整理…永楽大典 絵画:筆墨(線描,皴法)の整理,抽象化
明 | 区分 | 年号 | 職業画家(行家) | 文人画家(利家) |
前期 | 興隆期 |
洪武1368-98 建文1399-1402 永楽1403-24 洪煕1425 宣徳1426-35 正統1436-49 景泰1450-56 |
画院画家(宮廷画家) 周位(人物画、南京宮廷で死罪) 永楽 辺文進の花鳥 郭純(仿盛懋) 浙派 南宋院体画の整理 戴進 宣徳 謝環、李在、商喜、石鋭、周文靖 |
趙原(仿董源、南京宮廷で死罪) 徐賁、王紱 夏昶の墨竹 |
中期 |
英宗重祚 興盛期 |
天順1457-64 成化1465-87 弘治1488-1505 正徳1506-21 嘉靖1522- |
成化弘治 花鳥 林良、呂紀; 人物山水 呉偉 正徳 王諤、朱端の山水、竹石 後期浙派(在野) 狂態邪学派 張路、汪肇、蒋嵩、鐘礼、鄭顛仙、陳子和 筆墨の粗放化、抽象化 L字構図 |
呉派 蘇州の文人画 明四大家 元末四大家の整理 沈周 (周臣 行家) 文徴明、唐寅、(仇英 行家) 花鳥画 陳淳 |
後期 |
停滞期 1583衰亡期 ヌルハチ |
嘉靖1522-66 隆慶1567-72 万歴1573-1619 泰昌1620 天啓1621-27 崇禎1628-44 |
奇想の山水人物画家 呉彬(南京画院) 武林派 藍瑛(杭州) |
謝時臣(蘇州) 花卉雑画 徐渭(紹興) 明末の変 松江派 董其昌 奇想の画家 人物画 陳洪綬、丁雲鵬、崔子忠 |
参考:明代宮廷画家の官職 武職 錦衣衛 錦衣衛指揮使(正三品)、指揮同知(従三品) 錦衣衛指揮僉事(正四品) 錦衣衛正千戸(正五品)、副千戸、衛鎮撫(従五品) 錦衣衛百戸(正六品)、鎮撫、所鎮撫(従六品) |
【明中期】
林良 一説に1426-1500後、1415-80
字以善、広東南海人、成化年間の宮廷画家 初め布政司奏役となり広東北京を往来、偽画を作っていた広東布政使陳金(在任1457-55)に認められる
顔宗(1393-1454 字学淵、官は兵部院外郎)に山水画を、何寅于(1420挙人)に人物画を学ぶ
北京にて天順1457-64中内廷供奉、官は工部営繕所丞、後に仁智殿に入り錦衣衞鎮撫、指揮
都御史何経(1454進士、1484北京に入る)との交友、詩百篇を唱和(黄佐1490-1566『広東通志』)
子の林郊は1494年武英殿錦衣衞鎮撫、父の風を伝える
[作品]
早期の写実的な着色花鳥画、特に後期の飛白を伴う草書のようなタッチと没骨の墨面を駆使した水墨写意花鳥画が文人の支持をえる
モチーフは鷹、雁、鵜、鶴、孔雀などの本性をとらえた水陸の鳥と、古木竹石・秋冬の溪渚・蘆荻水草など野逸の趣をすばやく豪快な筆で描写
日本にも多くの伝承作品がある
《山茶白羽図》 152.3×77.2cm 上海博物館 早期の作 工筆重彩
《禽鳥図巻》 絹着色 38×906cm 吉林省博物館 吉1-017△
「林良」款「林良」印 160余の禽鳥 早期作、李永題
《雪景鷹雁図》 絹墨 299×180cm 北京故宮博物院 雌雄鷹、下に1落雁、1鵲
「林良」款「以善図書」印 水墨写意の大作
《蘆雁図》 絹墨 138×69.8cm 北京故宮博物院 京1-1041△ 水面に2飛雁
「林良」款「以善図書」印 水墨写意 成熟期の作
《孔雀図》 絹墨淡 155.3×78cm 北京故宮博物院 竹石上の雌雄孔雀、下に2雀
《雪景双雉図》 絹着色 131.5×57.9cm 北京故宮博物院 京1-1040△ 2雉
「林良」款「以善図書」印 写意着彩 形態化傾向
《雉鳩図》 絹墨着 155×92.6cm 北京故宮博物院 竹石,雌雄雉,鵲,4鴝鵒,2雀
「林良」款「以善図書」印 写意着彩 形態化傾向
《灌木集禽図卷》 紙着色 34×1211.2cm 北京故宮博物院 京1-1039△
「東廣林良」款「以善図書」印 黄元治、金廷対、徐歩雲、徐鳴珂跋
70余鳥は形態化、晩年作あるいはコピー
伝林良《喬林百雀図巻》 絹墨 28.6cmx498.2 クリーブランド美術館
《秋鷹図》 136.8×74.8cm 台北故宮博物院
「林良」款一印 率意粗荒の作
《画鷹図》 133.4×50.5cm 台北故宮博物院
「林良」草書款「林良」方印
《松鶴図》 絹墨 153×83 京5-187△
《古木寒鴉図》 絹墨 141×90 京7-007△
《古木蒼鷹図》 紙墨 140×56 南京博物院 蘇20-002△
《蘆雀図》 絹着色 85×75 南京博物院 蘇20-003△
《秋坡集禽図》 絹着色 155.4×82.3 蘇24-0022△
《蘆雁図》 絹着色 135×78 津6-001△
《荷塘集禽図》 絹着色 152.7×65.5 津7-0057△
《松梅寒雀図》 絹着色 100×45 津7-0058△
《雁雀図》 絹墨 164.3×99.5 魯1-005△
《雪景蘆雁図》 絹着色 193×ll9 烟台市博物館 魯7-02△ X字構図
《双鷹図》 絹着色 129.4×75.9 浙江省博物館 浙1-013△
《竹石錦雉図》 絹墨 浙25-04△
《松鶴図》 絹着色 147.3×75 上海博物館 滬1-0319△
《蘆雁図》 絹墨 125.4×75 上海博物館 滬1-0320△
《竹禽図》 絹墨 164.1×81.6 上海博物館 滬1-0318△劉傅:疑、楊:一般
《花鳥四條》 絹墨 161.2×113.5 皖4-01△
《秋林聚禽図》 絹墨淡 152.5×77cm 広州美術館 粵2-006△ 清宮、容庚
《松鶴図》 絹着色 174×87.5cm 広東省博物館 粵1-0019△
「林良」款「以善図書」印 写意水墨に鶴は工筆着彩
《双鷹図》 絹着色 166×100cm 広東省博物館 粵1-0022△
「林良」款一印 晩年粗簡放縦な様式の代表作
《柳塘翠羽図》 絹着色 155.5×96 広東省博物館 粵1-0020△
《雪蘆寒禽図》 絹墨 147.5×79 広東省博物館 粵1-0021△
《喜鵲蘆雁図》 絹墨 134.5×75 粵6-01△
《双鷹図》 絹墨淡 149.1×83.2 メトロポリタン美術館 北山堂旧蔵 S7-55
《双鷹雪松図》 絹墨 174.2×99.8 サンフランシスコアジア美術館 A35-84
《双孔雀図》 絹墨 154x107 クリーブランド美術館
「林良」款「以善図書」印 写意水墨
《鳳凰石竹図》 163.0×96.0cm 京都相国寺 「林良」款「以善図書」朱文方印(L款)
《蘆鵜図》 絹墨 135.7×74.4 東京国立博物館 水墨写意
《鵜図》 絹淡 136.0×74.5cm 水戸徳川旧蔵 水墨写意 容與の態 (L款)
《水鳬図》 146.0×63.0cm 「林良」款一印 王季遷旧蔵、HK佳士得2005秋
呂紀 15C 一説に1439頃-1505以前
字廷振、号楽愚、寧波人 院体系の工筆重彩画法において明代を代表する花鳥画家
同郷の袁忠徹(1376-1458 永楽帝と「小秀才」の交 1439帰郷)所蔵の名画を学ぶ
弘治年間仁智殿に供奉、武英殿待詔、1499年弘治十二年百戸から副千戸に昇進
1504年3月子呂泰に武職を譲ろうとするが楊一渶の反対にあう(『明考宗実録』巻209)
官は錦衣衛指揮同知、晩年考宗の寵愛を受け弘治末年には卒
従子呂高、呂棠、呂遠七、外甥葉双石、門弟胡鎮、蕭増、劉俊など影響は広汎
[作品]
工筆重彩系:初め辺文進を学び院体画を継承、形態と水墨と色彩の暈染(うんせん グラデーション)を洗練させた山水花鳥画 流派作も含め夥しい伝承作品がある
1499年弘治十二《竹園寿集図巻》 北京故宮博物院 画院にて呂文英と合作
1503年弘治十六《蕉岩鶴立図》 絹本 166.2×106cm 国家博物館
「武英殿直錦衣指揮呂紀写。時弘治癸亥暮春六日也。」款A印 精品
《南極老人図》 217×114.2cm 北京故宮博物院 「呂紀拝手」款A印 寿人梅鹿
◎《四季花鳥図》4幅 174.4×99.7cm 島津家伝来 東京国立博物館
(春)桃花、竹。鴛鴦2、鳩2、頬白3、雲雀1 8羽
(夏)梔子、紅白立葵、宣草。鴨2、黄鸝(高麗鶯)2、四十雀2 6羽
(秋)桂花、芙蓉、秋菊。赤筑紫鴨2、九官鳥2、白尾長1、変三光鳥1 6羽
(冬)白梅、紅椿、竹、枸杞。雌雄高麗雉2、雀3 5羽
「錦衣指揮呂紀写」(春)「呂紀写」(夏秋冬)款、「明善図書」、A「四明呂廷振印」印
《桂菊山禽図》 192×107cm 北京故宮博物院 「呂紀」款A印
吉祥のモチーフ:綬帯鳥(加官進爵、長寿)、八哥(人語を喋る吉祥鳥)、
桂花(貴花)、秋菊(長寿、君子の節操) 平板な描写
《榴葵綬雉図》 200.8×105.5cm 北京故宮博物院 「呂紀」款A印
《杏花孔雀図》 203.4×110.6cm 台北故宮博物院 「呂紀」款A印
《秋渚水禽図》 177.2×107.3cm 台北故宮博物院 「呂紀」款A印
水墨による月夜と大気の表現
《秋鷺芙蓉図》 192.6×111.9cm 台北故宮博物院 「呂紀」款A細無曲印
《牡丹錦鶏図》 184.3×100cm 中国美術館
《雪柳双鳧図》 166×100.2cm 上海博物館 「文華殿錦衣指揮呂紀寫」款A印
《寒香幽鳥図》 141×51.5cm 上海博物館 「呂紀」款A印
《梅竹山禽図》 183.1×97.8cm 浙江省博物館 「呂紀」款A印
《雪梅集禽図》 192×110cm 天津市芸術博物館
《獅頭鵝図》 191×104cm 遼寧省博物館 「呂紀」款A印 精品
《夏景花鳥図》 172×108cm 雲南省博物館 「呂紀」款A印
《双雉図》 191×117cm 泰州市博物館 無款
《花鳥図》 Berkeley Art Museum 「呂紀寫」款「日近清光」印 重層空間
《四喜図》 194×107.8cm 天津市芸術博物館 「呂紀」款A印 着色写意
水墨写意系:林良の影響 より柔らかい筆触と色彩感
《竹禽図》 北京故宮博物院 早期作 林良に近い
《殘荷鷹鷺図》 190×105.2cm 北京故宮博物院 「呂紀」款A印 早期
《鷹鵲図》 紙墨 120.7×61.5cm 北京故宮博物院 「呂紀」款A印 晩年 2蜂
《寒雪山雉図》 紙墨 135.3×47.2cm 台北故宮博物院 「呂紀」款A長方印
《三鷥図》 177.8×107.5cm 中国国家博物館 「呂紀」款A印 3鵜
《月明宿雁図》 170×103.5cm 江西省㜈源県博物館 「呂紀」款A印 幽美
呂紀派
呂棠《花石鴛鴦図》 136.5×53.2cm 北京故宮博物院 粗筆着彩
鄭石《芙蓉白鷺図》 144.4×74.3cm 台北故宮博物院 錦衣百戸の宮廷画家
《荷渚睡鳧図》 絹墨淡 174.5×104.2cm 台北故宮博物院
《雪岸双鴻図》 台北故宮博物院 「呂紀」款A印 呂紀派の作
《早花野禽図》 台北故宮博物院 A印 沈周題詩 呂紀派
《柳陰白鷺図》 219.5×107cm 山東省博物館 「錦衣呂紀」款
《秋山鷺鴨図》メトロポリタン美術館
呂文英 15C中-16C初 一説に1445頃-1510以后
處州(浙江省麗水)人,弘治年間1488-1505に宮廷画家として活躍
精緻で華麗な画風 明代中期宮廷人物画を代表する画家
1499年弘治十二《竹園寿集図巻》 北京故宮博物院 画院にて呂紀と合作
○《売貨郎図》 絹本着色 131.1×79.0 東京国立博物館
「直武英殿錦衣指揮呂文英寫」款、「紫衰供事」印
《売貨郎図》春夏2幅 絹本着色 各161.8×92.5 東京藝術大学美術館
「欽賜呂文英図書」朱文長方印
《売貨郎図》秋冬2幅 絹本着色 各163.2×91.5 根津美術館
参考:伝蘇漢臣《売貨郎図》 絹本着色 159.2×97 台北故宮博物院
《江村風雨図》 絹本墨画着色 170.5×103.4cm クリーブランド美術館
「呂文英」款、「日近清光」白文印
参考:趙晶「明代宮廷画家呂文英生卒年新探」《美術学報》2012年第02期
呉偉 1459-1508
字士英、次翁、魯夫 号小仙 江夏(湖北省武昌)人 ボヘミアン型画家の典型
士人の父剛翁は練炭術に凝り破産して死 少年時貧しく17歳で南京に流落
20代成国公をパトロンに画家として活躍 成化朝の北京宮廷に入り仁智殿待詔
弘治初め錦衣百戸、錦衣鎮撫を授り「画状元」印を賜る
祖先の供養のため一時武昌に帰るが、数ヶ月で呼戻され北京西街に屋敷を賜る
2年を経ずして南京に帰り秦淮(江南随一の歓楽街)東涯に居
1508年正徳三年五月、再び宮廷に召されるが途中深酒のため南京で卒
[作品]
山水、人物に長じる 早期の稠密な白描人物は李公麟、粗筆は梁楷に学ぶ
馬夏、浙派戴進の影響 粗細2体の奔放な風格 手、蓮房で描くパフォーマンス
大画面の障屏画を得意にし、南京霊谷寺など寺観壁画も手がける
“江夏派”の領袖として、弘治正徳以降の狂態邪学派に大きな影響を与える
1484年成化二十《鉄笛図巻》 上海博物館 楊維髑怐H 早期人物の代表作
1496年弘治九《仿李公麟洗兵図巻》 紙墨 広東省博物館 黄琳に 後半のみ遺る
《寒山積雪図》 242.6×156.4cm 台北故宮博物院 粗筆山水 L字構図 童子携琴
《漁楽図》 270×174.4cm 北京故宮博物院 巨幅山水
《灞橋風雪図》 138.1×106cm 北京故宮博物院 後期浙派に典型的なL字構図
《秋林帰荘図》 北京故宮博物院 後期浙派に典型的なL字構図
《柳下読書図》 168×105cm 北京故宮博物院 馬夏派 中年時の粗筆人物山水画 笹の水平点描
《柳岸簡歩図》 天津博物館 粗筆人物山水画 笹の水平点描
《山水図》 フリア美術館 自題
《問津図巻》 北京故宮博物院
《漁楽図巻》 景元斎 →比較:戴進、沈周、李著の漁楽図巻
《二仙図》 紙墨 上海美術館 祖筆人物の典型
《仕女図》 紙墨 インディアナポリス美術館 白描人物 行草書のような筆線美
1503年弘治十六《歌舞図》 北京故宮博物院 青楼の白描人物 祝允明、唐寅題詩
《武陵春図巻》 北京故宮博物院 青楼妓女を描く白描人物 徐霖書《武陵春伝》
1505年弘治十八正月《詞林雅集図卷》 上海博物館 龍知仁送別雅会の白描人物
引首に徐霖の篆書、巻後の跋に李夢要、王陽明など22人の題詩
1505年弘治十八年九月《長江万里図卷》 27.8×976.2cm 北京故宮博物院
粗筆写意の長大な画巻
《許由巣父図》 徳川美術館 「湖湘呉小僊寫」款「魯夫」印
《江岸独釣図》 所在不明 荒々しい筆法自体の独立
《松溪漁炊図》 122.8×75cm 北京故宮博物院 馬夏派
《松陰観瀑図》 164×87cm 北京故宮博物院 馬夏派L字構図
《太極図》 138.6×81cm 北京故宮博物院 巻物を開く寒山
王諤 1461頃-1541以降ほどなく卒
字廷直、浙江奉化の望族。地方画家の蕭鳳から画を学ぶ
弘治正徳嘉靖初の宮廷画家、官は錦衣衛千戸。山水、界畫に工み
南宋馬遠をより粗放化した筆墨により孝宗朱瞻基に“今馬遠”といわれる
「八十餘にして筆力益々勁」(『奉化縣志』)
著に『画学啓蒙』(散佚)があり「五達・三用・二妙・六求」をいう(張邦奇「画学啓蒙序」『紆玉楼集』卷一)
早期:画院初期
《蹈雪尋梅図》 106.7×61.8cm 北京故宮博物院 孝宗1487-1505朝の作
「臣王諤寫」隠し落款「御府図絵之記」、「弘治」円印「廣運之寶」朱文印
《江閣遠眺図》 143.2×229cm 北京故宮博物院 「弘治」「廣運之寶」印
《溪橋訪友図》 台北故宮博物院 「四明王諤寫」落款 童子携琴
1510年正徳五《送源永春還國詩畫巻》 紙本 29.8×706.5cm 京都国立博物館
「東原」款「四明王廷直」朱文印 楊守阯序、12人題詩、方仕跋
《観瀑図》 安徽省博物館 「王諤」款 幾何学的な抽象性
壮年期:錦衣千戸に昇進し「欽賜王咢図書」朱文長方印を下賜される
《雪嶺風高図》 出光美術館 「欽賜王咢図書」印
《山水図》 東京国立博物館 童子携琴
「錦衣千戸東原王諤寫」款「欽賜王咢図書」「東原叟」朱文印
《赤壁図》 常照光寺 「欽賜王咢図書」印
《瑞雪凝冬図》 台北故宮博物院 元代李郭派風
《雪景山水図》 プリンストン大学美術館 「文華殿直錦衣鎭撫王諤寫」款 簽
最晩年:
◎1541年嘉靖二十《送策彦周良還国図巻》 天龍寺妙智院 第18次遣明船帰国時
「直武英殿錦衣指揮王諤寫」款「東原叟」「兩朝賜聘」朱文印
その他
《雪山行旅図》 山東省博物館
《秋堂吹簫図》 濟南市博物館
朱端 15C末-16C初
字克正、号一樵,浙江海塩人 弘治正徳の宮廷画家 幼年時、漁樵の生業
1501年弘治十四年画院に入る(「辛酉徴士」印)(A印とする)
正徳年間に錦衣指揮使を授かり「欽賜一樵図書」を賜る(B印とする)
[作品]
山水、竹石に長じる 山水は郭煕、馬遠、盛懋に、墨竹は夏昶に倣う
1518年《山水図》 紙本墨淡 ボストン美術館 元代盛懋風
「正徳戌寅歳九月朔後二日雅山一樵朱端寫」款 4印
◎《寒江独釣図》 東京国立博物館 「朱端」款「克正」印 曼珠院旧蔵
《尋梅図》 208.3×124.5cm 台北故宮博物院 「朱端」款「克正」印
《江山漁夫図》 ストックホルム美術館 「朱端」款「克正」印A印
《柳院閑吟図》 天津芸術博物館 「朱端」款「克正」印A印B印 院体風を構成
《雪景図》 上海博物館 「朱端」款「克正」印A印B印
《烟江遠眺図》 北京故宮博物院 「朱端」款「克正」印A印B印 李郭派を抽象化
元代李郭派の様式を抽象化、筆の舞 朱端の代表作
《弘農渡虎図》 北京故宮博物院 後漢劉昆の弘農(河南省)太守時の故事
《仙桃図》 烟台博物館 「一樵朱端」款
《竹石図》 167.4×100.5cm 北京故宮博物院 「朱端」款「朱端」印
《竹石図》 178×104cm 橋本家 「朱端」款「朱端」印
朱邦 15C末-16C前
字正之、号九龍山樵、隠叟、酣鼾道人、新安人
用筆は草々、用墨は淋漓 人物は鄭顛仙、張路、山水は馬夏様式、朱端に似る
《人物図》 193×102cm 北京故宮博物院 「朱邦」款
《豊溪漁隱図》 絹淡 163×101.5cm 安徽省博物院 「豊溪漁父朱邦写」款
雪景の漁村のさまざまな漁父 横長の顔、波線の衣紋 精品
《溪谷漁父図》 159.5×100.5cm 大英博物館 漁楽図 「朱邦」款「朱邦之印」「九龍山樵老叟」印
《採蓮図巻》 中国美術館 陳淳1540年行草書《採蓮曲》
《人物図》 205.5×97cm 草書自題 「朱邦」款
《茅堂風雪声図》 184×102cm 行書自題 「朱邦」款 保利2011秋拍売
風雪茅堂野水灣,吟聲激徹水聲寒。鄰翁忽憶朝來約,許醉糟丘苔蓿盤。
参考:無款《夕夜帰荘図》 フリア美術館 光と大気の効果
《宮城図》 170×110.80cm 大英博物館 「豊溪」款「朱邦之印」「酣齁無夢關蛛v印
明宮殿を設計した蒯祥の王宮を背景にした肖像
鍾礼 15C後-16C初
号会稽山人、南越山人、字欽礼、浙江会稽上虞人 早く両親と死別、学問に努め趙孟頫風の書を善くし、最も画を得意とする
1490年謝進士と徐某の収賄事件に巻き込まれ罪を負い、盤石(四川への軍役?)を科せられるが、弘治帝の直仁智殿(画院)に召され赦免 大学士李東陽1447-1516、謝遷、王鏊ら文人との交流
1510年以降紹興に帰る 院体風山水、米法山水の雲山図を善くする
画の造詣に抽象化傾向、後に狂態邪学派に数えられる
《高士観瀑図》 177×103.5cm プリンストン大学美術館
《雪夜訪戴図》170.8×103.2cm 北京故宮 「会稽山人鍾欽禮書於一塵不染處」款
《挙杯玩月図》 205.6×104.1cm 台北故宮博物院 伝馬遠
《山水図》双幅 186.2×107.3cm 金地院(1833年信濃守南部利済より寄進)
秋幅:漁樵問答「欽禮」款「鍾氏欽礼」「江南野人」印
冬幅:林和靖「会稽山人鍾欽禮書于一塵不染處」款「鍾氏欽礼」「江南野人」印
《漁樵問答図》 139×82.6cm 定勝寺
後期浙派【狂態邪学派】
「狂態邪学」は、新興の呉派を擁護する何良俊1506-73らが、対照的なスタイルの弘治正徳以降の後期浙派の在野の職業画家、張路、蒋嵩、汪肇、鄭顛仙などに与えた評。明時代後半の王陽明心学の興盛を思想的背景としその特徴は:
1.筆墨の粗放化(割筆、没骨、溌墨など潤筆の線の狂草化や溌墨化)
2.形態のデフォルメ(例えば人物山水画に大写された野卑な顔やポーズ)
3.抽象化(単純化)傾向(構成はパターン化する)
→同時代日本の桃山・江戸絵画のへの影響(等伯の晩年、蕭白など)
何良俊らの評
「鄭顛仙(鄭文林)・張復陽(張復、1403-1490)・鍾欽禮(鍾禮)・蒋三松(蒋嵩)・張平山(張路)・汪海雲(汪肇)の輩の如きは、皆畫家の邪學、徒に狂態を逞しくする者なり。倶に取るに足る無し」(高濂『燕間清賞箋』1591屠隆序)
「我朝仁智殿を特設し、以て画士に処す。一時院中にある者、人物は則ち蒋子成、翎毛は則ち隴西の辺景昭、山水は則ち商喜・石鋭・練川の馬軾・李在・倪端。陳暹季昭は蘇州人、鍾欽礼は会稽人、王諤廷直は奉化人、朱端は北京人。然れども此の輩、皆な画家の第二流人、但だ当に之を能品に置くべき耳。……
開化の時儼、号は清川、焦墨を以て山水・人物を作る。みな観るべし。同時に徽州に汪海雲あり。亦畫を善くすれども、墨気は稍、時(儼)に及ばず。而して畫法は正に近し。是れ皆畫家の矩度を失わざる者也。南京の蒋三松、汪孟文、江西の郭清狂、北方の張平山の如きは、此等は用うるに楷抹を以てすると雖も、猶お吾が几榻を懼辱するがごとき也。
余、前に謂う。国初の人の畫を作るに、亦但だ率意に遊戯して精到する能わざる者有りと。然れども皆章を成せり。近年の浙江人の若き、沈青門仕(沈仕、號は青門山人、1488-1565)・陳海樵鶴(陳鶴、號は海樵、?-1560)・姚江門一貫(不詳)の如きは、則ち初めに師承する所無く、意に任せて塗抹し、然して亦た大幅を作りて人に贈る。笑うべし、笑うべし」(何良俊『四友斎叢説』巻二九 1569)
張路 一説に1464-1537
字天馳、号茅蹊子、後に平山、大梁祥符(開封)人 体躯は短小、性格は温雅
1511年30歳前、府庠の学生、琴詩をよくする 父は開封通判
1516年父は武昌の知(趙完璧『海壑吟稿』)
1523年以降北京行?大司馬李鉞がパトロン
1508年呉偉卒以降久しくしてから、薛宸フ為に仏画を描く
74歳開封の家にて卒(朱安[水侃]「張平山先生伝」『明文海』)
[作品]
王諤、呉偉の影響 粗筆、工筆2体の人物山水 粗筆写意は呉偉より更に放縦
伝承者:似山、紀山の2子、孫の嗣山 その他たくさんの伝承作がある
◎《漁夫図》 東京護国寺 粗筆写意 L字構図の江山図 張路最良の作
《拾得観月図》 フリア美術館 無款 L字構図の顔輝風写意人物画
《観月図》 74.5×128.8cm 「平山」款1印 京都国立博物館 粗筆 赤壁游舟意
《舞鶴遠眺図》 橋本氏蔵 粗筆写意
《道院馴鶴図》 140.0×97.5cm 橋本氏蔵 粗筆写意
《雪江泊舟図》 天津博物館 粗筆写意 道院訓鶴図をより抽象化
《風雨帰荘図》 183.5×110.5cm 北京故宮博物院 粗筆写意 道院訓鶴図を反転
《山雨欲来図》 147×105cm 北京故宮 粗筆写意 唐許渾「山雨欲来風満楼」
《溪山泛艇図》 165.8×97.5cm 上海博物館 粗筆写意 L字構図 涼風の様
《停琴高士図》 155.5×88.7cm 北京故宮博物院 L字構図
《風林観雁図》 北京故宮博物院 院体を粗放化
《鷹兔図》 158×97cm 南京博物院 写意花鳥画 雪景の動き瞬間をとらえた精品
《吹簫女仙図》 141.3×91.8cm 北京故宮博物院 粗筆写意人物山水 L字構図
《桐陰望月図》 151.5×103.2cm 濟南市博物館 無款「張路印」印 樹林人物
《三高士図》 157.6×100.0cm 国華823 「平山」款「張路」印 壮年気鋭の作
《濯足図》 141.3×92.7cm 米田泰蔵 国華951 「平山」款
《望気図》 景元斎 粗筆写意
《人物故事卷》四段 天津博物館 工筆人物小品
《山水人物図》 赤壁、帰漁 工筆人物小品 蒋嵩へ?
《雑画冊》18開 金箋紙墨淡 31.6×59.3cm 上海博物館 仙界山水人物の精品
山水2点:山(日)、海(月)
人物16点:福(乗雲男神、2童子)、寿(乗雲寿老人、2童子)、
八仙「純陽(剣)、国舅(巻)、湘子(筆硯巻)、拐李(杖)、仙姑(騎鶴)、采和(騎亀)、果老(書・器)、鍾離(大瓢)」、海蟾(蟾・串銭・瓢)
列子(風叢)、清羊仙子(騎羊)、白鹿仙(騎白鹿)、
五老、四皓(対棋、漁師)
《観瀑図》扇面 金箋紙墨 北京故宮博物院 精品
《帰驢図》 金箋紙墨淡 北京故宮博物院 工筆人物小品
《弾琴図》 紙墨淡 景元斎 工筆人物小品
《高士図》 絹墨淡 166.37x102.87cm ミネアポリス美術館 「平山」款
《東坡翰林帰還図巻》 紙墨淡 Berkeley Art Museum 無款 工筆人物小品
汪肇 15C末-16C前
字徳初、号海雲、安徽休寧人 約1519年前蒋嵩のいる南京で活動 鼻飲が得意
山水、人物、花鳥に工み 粗放な水墨(「海雲」は一説に作画時の溌墨の様を形容)
“草草小花鳥,瀟灑可愛,仿陶雲湖(陶成)兔鹿亦佳,雖不迨陶精思逸趣,亦自豪縦不凡。宛然有生気。石雖崚贈不分,而墨潤色鮮,亦足動人。唯写山水,乃是強作,声名卻動一時天下。”(・景鳳1590『・氏小辨』)
《起蛟図》 絹墨 167.5×100.9cm 北京故宮博物院
L字構図 激しい風雨の中に出現する龍 老翁・童子2人物は枯柴描
《瀑布対話図》 紙本淡彩 110×81.5cm プリンストン大学美術館
《観瀑図》 絹墨淡 2高士1童子 太湖石に棕櫚 「海雲」草書款1印
《風雨帰舟図》 絹墨淡痛み 146×74.5cm 安徽省博物院 「海雲」草書款
L字構図 前景に風を背に艪をこぐ鵜飼の漁父一人、頭上に樹木 中景に家
《山水人物図》 絹墨淡 128.0×49.2cm 橋本コレクション
《月下撫琴図》 絹墨淡 128.2×50.5cm 橋本コレクション
《竹林山水図巻》 金箋紙 日本個人 1528年劭経邦跋
《拐仙図》 絹墨淡 上海博物館 「海雲」草書款1印 呉湖帆詩塘題
《福禄寿三星図》 絹墨淡 158.0×95.2cm キンベル美術館 三白眼の視線
《漁樵問答図》 紙本墨画 122.5×49cm パップ夫妻旧蔵
「海雲」古体隷書款「海雲」朱文印 呉偉風白描人物
1583年趙昌国題詞「《水龍吟》一闋,題《漁樵問答》。
嶺扄負荷相安,斬伐更緣持斧手。帶葉炊薪,嬴餘市酒,何須肥牡。耕稼取禾,獵圍得貉,力先功就。正陂メ,心蹟都忘,在息肩時候,君知否;
飄零一葉孤舟,旁沙溪,獨眠清晝。有時歌嘯,只恐寒江,綱筌未就。龍困豫且(葉),鰲連任□,幾人能勾。待秋來稍避,風濤壯闊,從先生後。
萬曆癸未(1583)七月一日,同野道人趙昌國,書青華山人、東峪王鎔調於上方。」
《柳禽白鷴図》 絹墨着 190×103cm 北京故宮博物院 「海雲」款「克終」印
渓流に雌雄の白鷴、4飛燕、垂柳、紅桃花 工写描き分け
《桃花白鷴図・柳鷺図》二幅対 絹墨着 142×77cm 日本個人旧蔵
右:3白鷺、垂柳、2黄鸝、榴花
左:捕虫の2白鷴、山石、海棠、2鳥、月季
「海雲」款「汪氏徳初」印
《柳禽図》 絹墨着 日本個人蔵 北京本と同様な大幅
《松鹿図》 薮本家 八大山人鹿図に通ずる形態感、眼つきの人格化
《五鹿図》 絹墨 台北故宮博物院 円形に密集する五鹿の特異な告ヤの眼付
《蘆雁図》 185.4×101.8cm 浙江省博物館 林良風の水墨写意 一種抽象化
《月雁図》 146.5×96.3cm 永青文庫 上記浙博蘆雁図と共通モチーフ
蒋嵩 15C末-16C前
号三松、金陵(南京)人 正徳嘉靖期前半に活躍
祖は大医院院判蒋用文1351-1424恭靖公、末子主忠ら詩文を良くする家
[作品]
山水は呉偉に学び、元画を吸収し、金陵の自然をとらえる
多く方筆を使い、潤いのある単純化した墨面に焦墨を用い、抽象化が進む
A.漁舟山水図のグループ: L字構図
《舟遊図》 絹墨淡 135.0×78.Ocm 根津美術館 無款 B雪景図と双幅
《蘆洲泛艇図》絹墨淡189.2×104.0cm 天津博物館 三松款「三松居士」「徂来山人」
《江山漁舟図》 絹墨 155.0×103.Ocm 南禅寺 「三松」
《水墨山水図》 原田光次郎旧蔵 三松□□公孫
《漁舟読書図》絹墨淡北京故宮博物院171×108三松款「恭靖公孫」「蒋嵩私印」偽?
《漁夫山水図》 絹墨淡 146.1×53.3cm フォッグ美術館 三松款「徂来山人」偽?
《漁夫山水図》 絹墨淡 165.8×92.3cm 景元斎 三松款「恭靖公孫」
袁袠1502-47の題詩
《漁夫山水図》 絹墨淡 140.6×94.5cm 鈴木輝子蔵 三松
B.帰漁図のグループ:蕭々とした樹叢の繁る空間に帰る漁夫
《雪景図》 絹墨淡 135.2×77.7cm 根津美術館 無款 A舟遊図と双幅
《山水人物図》 絹墨 Berkeley Art Museum 三松款 恭靖公孫
《帰漁図》 絹墨淡 林屋秋嶺旧蔵 三松款「徂来山人」 右辺欠? 盛懋風
《水墨山水図》 松村孫一旧蔵
《山水図》 絹墨淡 鈴木輝子蔵 三松款「徂来山人」
《雪暮帰漁図》 絹墨 150.1×100.3cm ミシガン大学美術館
《帰漁図》 絹墨 139.4×94.5cm 台北故宮博物院 三松款「恭靖公孫」印 謝蘭生題
Bのヴァリエーション:漁夫を高士に換えたもの
《秋林読書図》 絹墨着 164×106cm 山東省博物館 三松款
《携琴看山図》 絹墨 163.2×98.5cm 北京故宮博物院 三松款「恭靖公孫」
《無盡溪山図》 絹墨 123×53.5cm 上海博物館 江東蒋嵩寫無盡溪山図款「三松」
書斎山水:《瀑辺書屋図》 絹墨淡 張允中蔵 三松款「三松居士」「徂来山人」構築的
人物山水:
《松下箸履図》 絹墨 149×50cm 南京市博物館 祖筆人物画 三松款無印
小品:「瀟洒勁特、不着塵俗」・景鳳『明弁類函』巻41画旨
《四季山水図巻》 絹墨淡 各23.0×118.0cm ベルリン東アジア美術館
みずみずしい筆墨と感性 「三松爲潔庵先生清玩」款「三松文房之印」
《山水図》扇面 北京故宮博物院 「三松為西園作」款「三松印」 帰漁図
《山水図》扇面 金箋紙墨淡 藍? 北京故宮博物院 「三松」印 米法山水
《旭日東昇図》扇面 北京故宮博物院 「三松」款「三松」印
《江秋横笛図》扇面「三松為□□先生作」款「三松」
《雪景山水図》扇面 金箋墨 柏原英一蔵書画扇面帖の一 三松款「三松」1方印
その他、要検討の作:
《山水図》双幅 絹墨淡 京都国立博物館 左 漁舟 右 問答
《携琴訪友図》 絹墨淡 148.5×89.0cm 大英博物館 削款 早期作?
《山水人物図》 絹墨淡 林宗毅蔵 三松款「三松私印」1方印
《雪景山水図巻》 紙墨 31.1×703.6cm メトロポリタン美術館 コピー
《山水図》絹墨淡 139.7x87.63cm ミネアポリス美術館 三松偽款「徂来山人」印
子の蒋乾1525-?字子健は《赤壁図卷》北京故宮博物院など呉派に接近する
鄭顛仙 16C前半
字号顛仙、名文林 福建人 正徳嘉靖期に活躍 道教に関わる
速い「狂」の線の舞、荒い墨面、明暗の対比 狂態邪学にふさわしい奔放な画風
《商山四皓図》 170.5×100cm 兵庫個人蔵 太陽 比較的温和な筆墨
《女仙図》 160×100.3cm 北京中央美術学院 西王母と桃を奉げる童子
《群仙図》 249×106cm 広州美術館 画を遮る老松の向こうに群仙の集い
《春柳奕棋図》 絹墨淡 187.7×94.5cm 北京故宮博物院 「滇仙」款2印
柳下の山石に白髪と団扇を持つ壮年の2仙人が囲碁をやめ観瀑
《二仙図》 156×98.3cm 北京中央美術学院 紅・緑衣の仙人 背景に竹泉
《三聖図》 徳川美術館 上部に2猿、1匹は白猿 封猴を表すという説
《龍虎図》双幅 179.2×105.9cm 宮津国清寺 「顛仙」款「鄭氏文林」「滇僊」印
漁樵人物図双幅 橋本家 渦巻く線描、野卑な面貌
《漁童吹笛図》 162.7×76.7cm 漁楽図 「滇仙」款「鄭文林」印
《柳蔭人物図》 161.0×70.7cm 獵夫図 「滇仙」款「鄭文林」印
《魔壺界図巻》 紙墨 プリンストン大学美術館、メトロポリタン美術館に分蔵
《飼羊図》 176.0×101.5cm 景元斎蔵 黄初平故事
陳子和 16C前半
号酒仙 福建浦城人 弘治、正徳、嘉靖期に活動
初め塑工、後に画に改める 酒を好み、山水人物、花草翎毛を善くする
◎《松鵜・蘆雁図》 176.3×107.2cm 妙心寺東海庵 「子和」款 早期 浙派風
《双鷹図》 149×98.5cm 大友家蔵 「浦南粤臺山人印」印 林良風
(参考:無款《双鷹図》 168.1×99cm フリア美術館 雪景 袁忠徹1376-1458印)
《高士観瀑・人物図》 116.4×36.7cm 個人蔵(林伯壽旧蔵)「陳子和寫」款
《柳下人物図》 薮本家蔵 子和款、「灑仙」印 呉偉風の岩
《醉帰図》 149.7×96.9cm 景元斎飛紅夫人旧蔵 割筆 張路風 「陳子和寫」款
《双鳥図》 136.4×79.4cm 東京国立博物館 「灑仙」款「浦城陳酒仙印」印
《蘇武牧羊図》 148.5×101.5cm 嵊県文物管理委員会 「七十一叟灑仙陳子和寫」款
《双鷹図》 『小山林堂』記載 薮本家蔵 「七十五叟灑仙陳子和寫」款 波石
《古木酒仙図》 175.3×102.2cm 大都会美術館 「七十七叟灑仙陳子和寫」偽款?
《雪中獵夫図》 162.8×100.7cm 個人蔵 「八十三叟灑仙陳子和畫」款 最晩年
他の職業画家
王世昌 16C前半
号歴山 山東歴城人 山水人物がにたくみ
《松陰書屋図》 フリア美術館 元院体画家孫君沢を継承する画風
《俯瞰激流図》 台北故宮博物院 244×383cm 孫君沢風《大幅山水図》と対
1529年嘉靖八年《大幅山水図》 台北故宮博物院
《山水図》 東京国立博物館 平明な画風 一陣の秋風 童子携琴
史忠 1438-1506?
字端本、廷直、号痴史、痴仙、痴翁、姓を徐に復し端本と名づく 金陵(南京)人
17歳まで唖、以降詩文書画に才能を発揮 呉偉、沈周と交流 山水は蒋嵩と繋がり
1473年《送別図》 東京国立博物館 痴翁款 粗筆写意 大まか
1503年《山水図》 関西雨宮家 痴翁款 粗筆写意
1504年《人物山水図》 台北故宮博物院 楊天澤の爲 痴史款 粗筆の描き残し
1504年春《雪中行旅図巻》 25×319cm ボストン美術館 粗筆写意の傑作
1506年70歳《山水図》 ケルン東アジア美術館 粗筆写意
1506年暮冬《古木図》 エリオット家旧蔵 痴翁款 割筆
《雑画冊》12頁 上海博物館 独釣図 痴翁款 狂逸な表現
郭詡 1456-1528?
字仁弘、号清狂道人 江西泰和人 山水人物に工み 一時弘治画院に応詔される
詩人であり職業画家を兼ねた先駆者
粗筆、工細2種の画風 豪放な写意人物画は、呉偉と名を等しくする
《雜画冊》8頁 各約29×46cm 上海博物館 粗筆 「典篤子」「一齋」「疏狂埜人」印等
竹石秋菊(墨菊)、青蛙草蝶・鶏冠蛺蝶・蘆塘芥菜(孫隆風色没骨)
蕉石婦嬰(呉偉風白描)、青山花村・草亭釣艇・溪山空亭(史忠風粗筆山水)
《琵琶行図》 154×46.6cm 北京故宮博物院 粗筆 行草書
《山水卷》 設色 湖北省文物商店 工細
1526年《東山携伎図》 台北故宮博物院 最晩年の極度の省略
杜菫 15C-16C初
原姓陸,字懼男、号檉居、古狂、青霞亭長など 丹徒(江蘇省鎮江)人
成化中進士に挙げられるが合格せず 1489年頃北京、後南京に移る
詩文、白描人物画に優れ、山水、花鳥、走獣、楼台の画にも長じる
《題竹図》 189.5×104.0cm 北京故宮博物院 大幅の代表作
1500年《人物図巻》 28×108.2cm 北京故宮博物院
《仕女図巻》 1巻:31×553cm 2巻:31.6×541cm 上海博物館 春秋6場面
《林逋月下吟行図》 クリーブランド美術館 院体画風
《玩古図》 126.1×187cm 台北故宮博物院 仇英派の画家?
《伏生授経図》 157.7×104.5cm 美国個人蔵
《人物山水図》 薮本家蔵 白描人物
謝時臣 1487-1567後
字思忠、号樗仙(役立たずの仙人) 呉県(蘇州)人 蘇州市井の儒学者
丁養浩、子の喬の雅会に沈仕、周臣と共に参加 文徴明、仇英、陳淳との交友
山水に長じ、郭煕、呉鎮、王蒙、沈周、浙派戴進、呉偉に学ぶ
気勢ある大幅の障屏画を描く 膨大な数の伝承作品が日本他にあるが多く粗雑
1517年正徳12年《倣王蒙山水図》 南京博物院
1535年49歳《放鴨図》 王季銓蔵 呉派浙派折衷の中年期
1540年頃《山水図》4幅 原、繭山家旧蔵 中年期の傑作
平湖烟柳 溪山風雨 秋峽雲涛 題不明
1544年嘉靖23年58歳《暮雲詩意図》扇面 北京故宮博物院 七言絶句
1546年60歳《策杖尋幽図》 北京故宮博物院 倣王蒙
1550年嘉靖29年《溪亭逸思図》 北京故宮博物院 倣王蒙
○1551年嘉靖30年《四傑四景図》 静嘉堂美術館
1551年65歳《山水図》 天津博物館 沈周風
1556年70歳《臥雪高士図》 日本個人蔵 袁安臥雪の故事
1558年嘉靖三七年72歳《山水図》 市河三鼎氏蔵
1559年73歳《酔翁亭記書画合璧巻》 台北故宮博物院 「仿黄鶴山樵筆法」題記
1560年74歳《楼閣観瀑図》 橋本氏蔵 「謝時臣写景」款 最晩年の傑作 沈周風
《華山仙掌図》 332×97.5cm 橋本氏蔵 浙派の影響の強い沈周風
《竹裡泉声図》 相国寺 沈佺期詩意 明末山水画を予見する岩塊の錯綜
《岳陽楼図》 北京故宮博物院
《虎阜春晴図》、《江山勝攬図卷》 遼寧省博物館
《夏山飛瀑図》 上海博物館
《選梅折枝図》扇面 北京故宮博物院 七言絶句 林逋像
《杜陵詩意図》冊 北京故宮博物院
《武当霽雪図》 山東省博物館
参考書
「明代絵画と雪舟」展図録 根津美術館 2005年
單国強 古書画史論集 紫禁城出版社 2002年 浙派関係の論考7編を含む
「戴進作品自序考」故宮博物院院刊1993年4期、「林良呂紀生平考略」同1997年1期
世界美術大全集 東洋編8 元 宮崎法子、西岡康宏編 小学館 1999年
故宮博物院 第4巻 明 小川裕光監修 NHK出版協会 1998年
Richard M. Barnhart, Mary Ann Rogers, Richard Stanley-Baker, Painters of the Great Ming: The Imperial Court and the Zhe School, Dallas Museum of Art, 1993
ジェームズ・ケーヒル 江岸別意 中国明代初中期の絵画 明治書院 1987年
鈴木敬 中国絵画史 下 吉川弘文館 1995年
鈴木敬 明代絵画史研究・浙派 東京大学東洋文化研究所特別紀要 1968年
穆益勤編 明代院体浙派史料 上海人民美術出版社 1985年
嶋田英誠「李在について 伝記篇、画業篇」(『国華』第1278,9号、2002)
嶋田英誠「王諤とその「雪嶺風高図」軸について」 (『国華』第1243号、1999)
近藤秀実「鄭顛仙資料」(『Museum』第428号、1986)
湊信幸「陳子和について」(『Museum』第353号、1980)
嶋田英誠「蒋嵩の山水畫について−「狂態邪學」派研究の一環として」(『東京大學東洋文化研究所紀要』第78册、1979)
于中航「明代画家張路及其《望月図》」(『文物』第2期、1991)
参考サイト
中国絵画千年巡礼 明
同様 明時代 高精細画像投稿サイト
展覧会
《追索浙派》
2008年秋季:7月1日-9月25日 冬季:10月1日-12月25日 台北故宮博物院
「藝術的傳統」、「浙派與宮廷的交會」、「北京與南京」、「狂態邪學」の四單元85件の作品により浙派の展開を追索 →浙派年表
《明代絵画と雪舟》
2005年7月2日(土)-8月14日(日)(終了) 根津美術館 →展示品リスト
室町水墨画に独自の構築性を発揮した雪舟の画跡と、雪舟に影響を与えた明代淅派の絵画を新しい視座の下に紹介
文正 鳴鶴図(左右幅、承天閣美術館蔵)、石鋭 探花図巻(橋本氏蔵)、李在 雪景山水図(京都個人蔵)、蒋嵩 雪景山水図(根津美術館蔵)など
《天津市芸術博物館展》
2003年10月11日(土)-11月24日(月・振替休日)(終了) 千葉市美術館
明朱端《松院閑吟図》、張路《雪江泊舟図》、萬邦治《秋林覓句図》、王謙《冰魂冷蕊図》の浙派作品を含む明清書画と文物の展示 →書画展示品リスト