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 中国絵画史ノート 明時代3 逸格の系譜 徐渭

徐渭 1521-93 逸格の系譜

[生涯]
山陰(浙江省紹興)人 字は文清、文長,号は天池・青藤・田水月など→徐渭落款印
家は紹興の名門“吾宗居会稽,自吾祖而上,代多豪雋富貴老寿之人”『贈族兄序』
叔父に徐鑰(成化年間進士)、徐滋(貢生)がいるが徐渭以降は没落

徐渭像徐鏓(父)──────────┬童夫人(前妻)
徐鏓───苗宜人(後妻)    │
徐鏓┬某(後妻の侍女)   ┌┴┐
  │          徐潞 徐淮(長兄)
 徐渭─────┬潘氏
 徐渭┬張氏  徐枚(長男)
   徐枳(次男)

挙人(地方官僚)の父徐鏓と前妻童夫人に長男徐淮、次男徐潞の2人の兄
童夫人は早くに卒、雲南任官中に、苗百戸家の寡婦の姪女、苗宜人を後妻に
榴花書屋時代
正徳十六年1521年二月四日、某(後妻の侍女)の子として
 浙江省紹興府山陰県大雲坊観橋庵東、榴花書屋(現在紹興市青藤書屋)に生
 庭内には青藤天池などがあった
 生後百日、父は死、継母苗宜人に育てられる
嘉靖十三年1534年14歳継母、病のため卒、長兄に育てられる
 琴詩書画剣術をよくし、王政から古琴を学び、15歳彭應時から剣術を学ぶ
1540年20歳秀才 以降41歳まで郷試(挙人になるための地方試験)に8度落第
 蕭勉、陳鶴(戲曲、画)、楊珂(書法)、朱公節、沈練、銭鞭、柳林、諸大綬、呂光升ら“越中十子”との交友、また陳淳、謝時臣、沈仕、劉世儒、沈明臣ら文人書画家との交流
1541年21歳潘氏と結婚、潘家で平穏に暮らす
1545年25歳3月長男徐枚(じょばい)生。兄徐淮、丹薬による中毒死、家財も失う
1546年26歳8月郷試3度目の落第。10月妻潘氏が卒
1547年27歳 王陽明の弟子64歳の季本に師事、“心即是理,心外無理”の陽明心学
一枝堂時代
1548年28歳独立し私塾「一枝堂」を開き生計をたてる
 紹興、杭州間を受験のため往来、次第に名を広める
1556年36歳春、福建省武夷山に遊ぶ。『四声猿』中の「雌木蘭」この頃作るか
胡宗憲幕下時代
1557年37歳倭寇討伐の総督胡宗憲の私設書記(文章代理)として5年間の活躍
 11月厳嵩を弾劾したために殺された沈錬への義憤から雑劇「狂鼓史」を作る
1560年40歳『鎮海楼記』を代書した報酬に胡宗憲から銀220両を得、紹興東南に土地10畝、房22間の屋敷を購い酬字堂と名づける
1561年41歳張氏と結婚。8月郷試8度目の落第、以降受験せず
1562年42歳厳嵩が世宗(嘉靖帝)により失脚されたのに伴い、胡宗憲も失脚
 11月次男徐枳(じょき)
1563年43歳紹興の酬字堂に帰る。冬、状元李春芳1510-84の招きで1度めの北京へ
1564年44歳紹興に帰る。秋、2度めの北京へ、冬帰郷
1565年45歳3月胡宗憲が獄中自殺、徐渭も精神失調をきたし、自ら「墓志銘」を書き自殺未遂を重ねる
 “引巨錐刺耳,深数寸;又以椎碎腎嚢,皆不死。”(『明史』文苑傳)
監獄時代
1566年46歳冬、不貞の疑いから張氏を殺し入獄7年
隆慶元年1567年47歳、獄中
 この間、本格的に画の制作を開始
隆慶六年1572年52歳6月万歴帝神宗即位
 大晦日、同郷張天復1513-74、状元張元忭1538-88父子らの援助により仮釈放
梅花館 外遊と精神失調の時代
万歴元年1573年53歳目蓮巷金氏の典舎にある2子の借家に住み梅花館とする
 庭内には柿葉堂葡萄深処、自在岩などがあった
二年1574年54歳張天復卒 11月五泄山に遊ぶ
三年1575年55歳春『会稽県志』を整修した功により完全釈放 8月15日より天目山、杭州、南京に遊び年を越す
四年1576年56歳春3度めの北京に赴く、夏、呉兌の招きで宣化(河北省)の幕府へ
五年1577年57歳初春、宣化から北京へ、8月病のため淮安、蘇州を経て紹興へ戻る
六年1578年58歳4月徽州(安徽省)胡宗憲墓に墓参、精神失調「不食如蠶眠」
七年1579年59歳9月26日父、童・苗両宜人2母、潘・張2夫人の墓を改葬
八年1580年60歳李如松の招きにより次子徐枳と共に4度めの北京へ
十年1582年62歳2月精神失調のため帰郷、門を閉ざして出ず
 冬家庭不和により分居、徐枳と范氏の典舎に
 これ以降、紹興に留まり売書画の生活
桜桃館 再晩年の売書画時代
十四年1586年66歳3月徐枳が王道翁家に婿入り、徐渭も移り居室を桜桃館とする
十五年1587年67歳李如松の招き、5度めの北京行を企てるが病のため徐州で戻る
十七年1589年69歳『徐文長集初集』刊
二一年1593年73歳 辞世「畸譜」を書き孤独と貧困のうちに没(陶望齢の伝)
 死後ほどなく袁宏道(1568-1610 公安派(性霊派)の領袖)が陶望齢(字周望)の家で徐渭の詩文を発掘し全国に名を広める
 明末人物画の天才、陳洪綬は徐渭に心酔し青藤書屋(徐渭の故居)に住む
[作品]
自称「吾書第一,詩二,文三,画四」
〈書が第一,詩がこれに次ぎ,文はこれに次ぎ,画はまたこれに次ぐ〉
書画は一作ごとに表情が変化、創作の場の感興の発露→性霊派袁宏道の評価
書:
宋人、特に米芾の蕭散爽逸を吸収、行・草書に独自の風格 →徐渭 書法参照
「筆意の奔放なこと、その詩のようであり、蒼勁さの中に姿媚(エロチックさ)が躍り出る点で、王雅宜(王寵)、文徴明の上にある。」「書の法を論じないで、書の神を論じる。誠に“八法の散聖”であり、“字林の侠客”である。」(袁宏道『書林藻鑑』)
早期:
隆慶年間1567-72 草書《自書詩巻》 28.4×645.5cm 上海博物館
中期:
行書《女芙館十詠巻》 30.8×227.2cm 上海博物館 中期の代表作
 芙蓉、菊、芭蕉、玉簪、暖萱、藜、鷄冠、山査子、野葡萄、土菩提の各自作詩
行書《詩詞巻》 22.5×269cm 上海博物館 雑体書 周亮工跋
行早書《十一詩巻》 31.5×610.2cm フリーア・ギャラリー 雑体書 呉熙載題
行書《観潮詩》 131.1×31.6cm フリーア・ギャラリー 南京博物院に双胞胎
行書《詩詞巻「飲馬長城窟行」》 22.5×269cm 上海博物館 1661年周亮工跋
行草書《杜甫秋興八首》冊 台北故宮博物院
晩年:
行草書《七律詩「春園」》 209.2×64.4cm 北京故宮博物院 四方に向く鋒芒、密集した行 鬱然とした趣
草書《杜甫七律詩「幕府秋風」》 189.5×60.3cm 上海博物館
行書《七言律詩「朝廷久罷」》 163.7×43cm 北京故宮博物院
行書《七言絶句詩》 123.4×59cm 上海博物館 二玄社複製
 題:一篙春水半溪烟,抱月懐中枕頭眠。説與傍人渾不識,英雄回首即神仙。
伝承作:
明末 雪蓑道人 草書《青天歌巻》 31.6×203.6cm 蘇州博物館
 1966年清人曹澄墓出土 徐渭偽款 米芾《呉江舟中詩巻》からの変貌 
画:
牧谿らの宋元花卉雑画の流れを溌墨による大写意水墨画により新しく再生させる
 (→牧谿と逸格水墨画参照)
  →清代花卉雑画へ展開 揚州八怪(例:鄭燮「青藤門下牛馬走」印)など
早期:
《拝考陵詩意図》 109.3×29.0cm 大阪市立美術館 コピー
《驢背吟詩図》 112.2×30cm 北京故宮博物院 無款 笪重光、張孝思鑑定「以書法作畫,古人中多見之。此畫雖無款識,為徐文長先生筆意靡疑。懶逸張孝思鑒。
《蕉石梅竹図》 166.0×91.0cm ストックホルム東アジア美術館
中期:
1575年55歳《花卉雑画巻》 28.4×665.1cm 東京国立博物館 美しい青墨 疑問作
《牡丹蕉石図》 120.6×58.4cm 上海博物館 疑問作
《花卉図》18段 紙墨淡 33.5×522.8cm 上海博物館 前衛的抽象 印象的な臙脂
《擬鳶図巻》 紙墨 33.5×522.8cm 上海博物館 王冕詩意 実験的な作
 《擬鳶図巻》ネルソン美術館本32.69×140.97cmと双胞胎
《石榴図》 91.4×26.6cm 台北故宮博物院 傅申は疑作説
晩年:
《雑花図巻》 30.0×1053.5cm 南京博物院 水墨大写意花卉画の最高傑作
 牡丹-石榴1-蓮花-梧桐2-菊花-南瓜-扁豆1-紫薇-葡萄2-芭蕉1-梅花-水仙-竹1 13種
 溌墨、破墨、積墨、双勾 激しさの中の危いバランス
 (四季試案:[春]牡丹-[夏]石榴1-荷花-[秋]梧桐2-菊花-南瓜-扁豆1-[夏]紫薇-[秋]葡萄2-枯芭蕉1-[冬]梅花-水仙-竹1)
《四時花卉図巻》 29.7×1081.7cm 北京故宮博物院 南京博雑花図巻より洗練
 引首:烟雲之興1 牡丹1-葡萄1-芭蕉1-桂花1-松樹2-雪竹1-雪梅2 7種(全10紙)
(四季試案:[春]牡丹1-[夏]松樹2-[秋]葡萄1-枯芭蕉1-桂花1-[冬]雪竹1-雪梅2)
《墨葡萄図》 166.3×64.5cm 北京故宮博物院 部分
 題:半生落魄已成翁,独立書齋嘯晩風。筆底明珠無處賣,閑抛閑擲野藤中。
《黄甲図》 114.6×29.7cm 北京故宮博物院 
 題:兀然有物氣豪粗,莫問年來珠有無。養就孤標人不識,時來黄甲獨傳臚。
「十六花姨舞」詩による大幅対:
十六花図》 337.6×103.5cm 台北故宮博物院 下載
十六花図》 332.7×99.1cm フィラデルフィア美術館 
 梅、蘭、菊、竹、芭蕉、牡丹、水仙、蓮花、秋海棠、椿、芙蓉、秋葵、石榴、萱草、紫陽花、玉簪花の16種の草花
最晩年:
1591年71歳《花卉雑画巻》 25.6×291.2cm 泉屋博古館 晩年の枯筆と溌墨
1592年72歳《墨花九段図巻》 46.6×625cm 北京故宮博物院 最晩年の代表作
 牡丹-蓮花-菊花-水仙-梅花-葡萄-芭蕉-墨蘭-墨竹 9種
《五月蓮花図》 103×51cm 上海博物館
《竹石牡丹図》 138.7×37.1cm 上海博物館 「大環」落款
詩文:
戯曲四部作『四声猿』、戲曲論『南詞叙録』
1614『徐文長文集』詩文集 死後、袁宏道(『徐文長伝』)による編集

牡丹爲富貴花,主光彩奪目,故昔人多以鈎染 托見長。今以溌墨爲之,雖有生意,終不是此花眞面目。盖余本窶人,性與梅竹宜,至榮華富麗,若風馬牛弗相似也。《墨牡丹》

五十八年貧賤身,
何曾妄念洛陽春?
不然豈少胭脂在,
富貴花將墨寫神。 《墨牡丹》

從来不見梅花譜,
信手拈来自有神;
不信且看千萬樹,
東風吹着便成春。 《墨梅》

溪藤一斗小方々,
魚蟹瓜蔬笋豆香。
較量総是寒風味,
除却江南無此郷。 《魚蟹瓜笋豌豆》

太湖五尺石頭新,
勾勒寒梢已逼眞。
杏花雖是無情物,
遮却腰身怕見人。 《竹石杏花》

呉刀斷水水難分,
藉景忘憂憂轉頻。
丹棘空長辤草麻,
白頭猶見倚門人。
漸隣悪雪屠冬候,
別字黄花擾饌辛。
葉上有虫秋喞喞,
汝南傷別北堂辰。 《黄花秋虫》

鳧牛兩 酒三卮,
索寫梅花四句詩。
想見元章愁米日,
不知幾斗換冰枝? 《墨梅》 元章は王冕

曾聞餓倒王元章,
米換梅花照絹量。
花手雖低貧過爾,
絹量今到老文長。 《墨梅》

觀夏珪此畫,蒼潔曠迥,令人舍形而悦影。《題夏珪山林卷》

一幅淡烟光,
雲林筆有霜。
峰頭横片石,
天際渺長蒼。
雖贋須金換,
如真勝璧藏。
扁舟歸去景,
入畫亦茫茫。《書倪元鎮畫》

南京解元唐伯虎,
小塗大抹倶高古。
壁松水閣坐何人?
若論游魚應着我。《唐伯虎古松水壁閣中人待客過畫》


“白陽青藤” 陳淳と徐渭

陳淳 1484.3.18-1544.10.21
[生涯]
諱は淳、字道復、後に字通行のため更字は復甫、号白陽山人 蘇州大姚村人
祖父陳璚(ちんけい)1440-1506は南京都察院左副都御史、沈周、呉寛らと交友
父陳鑰1464-1516は文徴明と20余年の交わり、仕官せず方術にこる
1484年生、「少有逸気」(王世懋1536-88)
文徴明に入門 経学・古文詞章・書法篆籀・画・詩みな優れ、入室の弟子といわれた
1516年父の死後、古玩や書画の交友にふける 県の庠生
喪があけた後北京に赴き国子監太学に入る 大学士楊廷和、陸完らが書法を賞賛
1523年以前、豪放不覇の性格からか、家産が傾むいたためか帰郷
  入代わり北京に赴いた文徴明の影響から離れる
豊かな望族の家産は傾き、3人の子枚、栝、樹、また妻にも先立たれる
晩年は蘇州郊外霊岩山の五湖田舎に隠棲
1544年義興の山水を見ようとして冬、病に罹り家に卒
(生卒年は張寰1486-1561「白陽先生墓誌銘」『陳白陽集』附録による。他に『蘇州府志』62歳1483-1544、銭大マ『疑年録』58歳1482-1539の説)
[作品]
詩文書画に優れ文徴明一門の呉派の素地を持つがより個性的で奔放
詩文:『陳白陽集』陳仁錫(陳淳の従玄孫)編万歴43年刊
書:行草にすぐれる
早年は文徴明、中年以降は米芾の影響、他に楊凝式、林藻、李懐林に学ぶ
明末趙宦光評:京兆大成、待詔淳適、履吉之韻逸、復甫之清蒼、皆第一流書
「真、縦、逸」の特点(王乃棟『陳淳書法真偽図鑑』)
行草書《秋庭帖》 早年の書 文徴明の筆意
草書《岑嘉州詩》 上海博物館 気勢ある点と線のリズムが織りなす交響楽
1536年草書《自書詩巻》 北京故宮博物院 豪放流美
1538年夏草書《題牡丹詩巻》 所在不明(1929年神州国光社石印本)奔放高雅
1539年7月草書《楽志論巻》 ホノルル・アカデミー(王乃棟:贋品)
1540年草書《李白襄陽歌七言古詩巻》 台北霊漚館 狂逸奔放
1543年草書《瓶蓮図題》 北京故宮博物院 沈周《瓶蓮図》の詞
1544年行書《山居雑賦巻》 上海博物館 最晩年
1544年行書《自書白陽山詩》 天津市芸術博物館 29.6×393.5 莫是龍跋
草書《雪夜対客詩扇面》 蒋風白蔵
草書《王維詩》 上海博物館 351.1×98.5 大幅(王乃棟:贋品劣品)
画:
山水画は大姚村ゆかりの米友仁、高克恭、花鳥画は沈周、文徴明に学ぶ
中年以降の放縦な、時に淡彩をまじえる水墨大写意画により、徐渭と共に“白陽青藤”といわれる
【花鳥】
1.題材の花卉雑画への拡張
2.文人写意画の先駆となる墨戯による創作
3.晩年花卉画巻の対題式の緊密な変化と連係、詩書画一体の美を深める
4.晩年水墨写意技法の深化、小写意から大写意への方向付け(以上、單国霖)
花卉画巻冊の形式
 a.連続式(詩なし)
 b.書画合璧式 先画後書と先書後画の2種がある
 c.対題式「間題間画形式」 先題後画、先画後題と両者の混合式の3種
1514年32歳《湖石花卉図扇面》 台北故宮博物院 唐寅、祝允明、文徴明題
1537年55歳《花卉図巻》 29.7×400cm 上海博物館
1538年56歳《花卉巻》 画:34.9×253.3cm 書:34.9×428.3cm 台北故宮博物院
 水墨花卉:牡丹、蘭、竹、槴子、荷花、水仙、山茶+狂草書 b合璧式の代表作
1538年56歳夏《五花図巻》 33×289cm 上海博物館 行草書五言詩すぐれる
1539年57歳3月望前2日《花卉十二種巻》紙本設色 虚白齋
 「余因謝客田舎,時値陰雨連旬,幾格生寂,漫調粉,戯作花枝数種
1539年57歳3月望後《書画巻》 27×250cm 上海博物館 「戯筆」、草書
1540年58歳《墨花十二種図巻》 上海博物館 c式行草書五言詩共に代表作
1541年59歳《四季花卉図巻》(花果図巻) 34.3×527.4cm 上海博物館
 蘭、菊、荷花、葡萄、秋葵、鶏頭、竹石蝶、白梅、水仙、椿 a連続式
 硬筆による提按收放の妙、成熟した水墨
1544年62歳《墨花図》17開 28×38cm 上海博物館 最晩年の作 a連続式
1544年《観物之生花卉図巻》 無錫博物館 文徴明賛「出藍の誉」
1544年初夏《松菊図》 大阪市立美術館 文徴明賛
《花卉冊》12開 絹本淡彩、金箋墨書 18.5×l7.6cm 上海博物館
 引首大字「適興」 c.対題式 行書題
《葵石図》 北京故宮博物院
【山水】
元人の模倣から米法山水へ、南京呉偉、史忠らの粗放な筆墨の影響
1535年53歳《山水図巻》 絹墨 33×262cm 橋本氏蔵 溌墨米法山水
1535年《仿小米雲山図巻》 フリーア美術館 文徴明跋 米法山水
《山水図扇面》 ホノルル美術館 溌墨米法山水
《山水図巻》 ネルソン美術館 米法山水
1537年55歳《墨筆山水図》 北京故宮博物院
1538年56歳《曲江春燕図巻》 ホノルル美術館 南京画家史忠たちからの影響
1540年58歳《山水図冊》 30.1×48.2cm 台北故宮博物院 史忠風抽象山水
1544年9月《罨画山図卷》 天津芸術博物館 溌墨米法山水画
                    →参考:陳淳書画リスト


明時代後半の花鳥画家

孫克弘 1533−1611
字允執、号雪居 華亭(上海市松江)人 父の蔭により仕官し漢陽知府になる
書法、詩を善くする
花鳥、竹石、山水は沈周、陸治を師とする
中年時設色画が多く、晩年は放逸で簡煉な筆
1576年44歳《異時雑卉図巻》紙本設色 26×516cm 上海博物館 
百花図巻》 北京故宮博物院

周之冕 16-17C前
字服卿、号少谷、長洲(蘇州)人 花鳥画に優れる、家に禽鳥を飼い観察
花卉は、鈎花点葉法を用い簡明で洗煉された画風
1572年《花卉冊》8開 南京博物院
1601年《菊花鶺鴒図》 132×62.5cm 乾隆内府 中貿05拍売330万元 
1601年《花卉図巻》 紙著 28×1079cm 上海博物館
1602年万歴三十年《百花図巻》 北京故宮博物院 最晩年
1602年《竹石雄鶏図》 北京故宮博物院
1602年《杏花錦鶏図》 蘇州博物館
《百花図巻》 紙著 32×1717cm 清初張純修→乾隆内府 中貿05拍売2200万元



参考書
『乾坤清氣─青藤白陽書畫學術研討會論文集』 2010年 web版:(一) (二) (三)
 荒井雄三「關於徐渭書畫自用印與書畫編年
 故宮出版社『中国書画家論叢』シリーズの一つとして再版 2015年
乾坤清氣─故宮、上博珍藏青藤白陽書畫特展図録 2006年
青籐白陽:陳淳、徐渭書画芸術 南京博物院展覧会図録 2017年
世界美術大全集 東洋編8 明 宮崎法子、西岡康宏編 小学館 1999年
故宮博物院 第4巻 明の絵画 板倉聖哲構成執筆 NHK出版協会 1998年
鈴木敬 中国絵画史 下 吉川弘文館 1995年
ジェームズ・ケーヒル 江岸別意 中国明代初中期の絵画 明治書院 1987年
【徐渭関係】
『徐文長』 内山知也監修、明清文人研究会編 白帝社 2009年
 荒井雄三「徐渭の花卉雑画―十六種花詩の画について」
 荒井雄三「徐渭の自用印」
徐渭『徐渭集』4冊 中華書局 中國古典文學基本叢書 1983年
画集:
徐渭書画全集5冊 故宮博物院、紹興市旅游集団編 故宮出版社 2015年 148件収録
 第一冊 故宮博物院藏書法 
 第二冊 国内外博物館及私人藏書法 
 第三冊 故宮博物院藏絵画 
 第四冊 国内外博物館及私人藏絵画
 第五冊経折装 故宮博物院藏《墨花図巻(墨筆雑画卷)》《草書千字文》全幅
徐渭書画全集 天津人民美術出版社 2014年 200余件収録
徐渭精品画集 天津人民美術出版社 2000年
徐渭 何惟明編 浙江人民美術出版社 1989年
徐渭・董其昌 文人画粋編第5巻 中央公論社 1978年
水墨美術大系11 八大山人・揚州八怪 米沢嘉圃・鶴田武良編 講談社 1975年
単著論文:
李徳仁『徐渭』 吉林美術出版社 1996年
張新建『徐渭論稿』 文化藝術出版社 1990年
梁一成『徐渭的文學與藝術』 藝文印書館 1977年
徐侖『徐文長』 上海人民出版社 1962年
何楽之『徐渭』 『中国畫家叢書』 1961年
孫克讓「從徐渭墨筆花卉圖卷談起」 『文物』 1990年2期
馮其庸「徐渭的書畫藝術」 『朶雲』 1987年4月13期
米澤嘉圃「明代における花卉雑画の系譜」『泉屋博古館紀要』1985年2
蕭平「徐渭雜花圖卷」 『藝苑掇英』 1979年5期
荘伯和「徐渭繪畫之研究(上、下)」 台北『故宮季刊』 1976年3期,4期
和平「記“青藤書屋”」 『文物』 1962年10期
李松「徐渭生平與其繪畫成就」 『文物』 1961年6期
【陳淳関係】
『陳淳精品画集』 天津人民美術出版社 2000年
王乃棟『陳淳書法真偽図鑑』 文物出版社 2000年
蕭平『陳淳』 吉林美術出版社 1996年
陳葆真『陳淳研究』 台北故宮博物院 1978年
單国霖「墨中飛将軍 花卉豪一世―陳淳花鳥画芸術」榮宝斎
参考サイト
故宮名画記 北京故宮博物院
明代書法 徐渭(GB)
故宮博物院の名蹟 二玄社
同様 徐渭 陳淳 高精細画像投稿サイト

展覧会
《畸人青藤─徐渭書画作品展》
2021年5月19日-8月19日 紹興徐渭芸術館(終了)
 VR展 展示リスト参照   同様サイトから展品画像
徐渭生誕500週年記念、徐渭主題として最大規模の徐渭展 書36件、画25件
紹興博物館、北京故宮博物院、上海博物館、南京博物院、広東省博物館、吉林省博物院、寧波天一閣博物院、浙江図書館等30館及古籍收藏單位の徐渭書画と徐渭後学の作、碑拓、古籍100余件(一級文物17件,二級文物47件,三級文物19件)を展示
北京故宫博物院蔵の4幅《墨葡萄図》《墨花図》などは1ヵ月のみ展示
 若干内容を変え《畸人青藤―徐渭的故事》として以下を巡回
 2021年12月1日-12月31日貴州省 貴陽孔学堂芸文館
 2022年5月18日-7月25日安徽省 蚌埠博物館
 2023年3月1日-5月3日浙江省 龍游縣博物館
《青籐白陽:陳淳、徐渭書画芸術展》
2017年8月29日至11月28日 南京博物院(終了)
澳門以来10年ぶりの大展。南京博物院、天津博物館、上海博物館、蘇州博物館蔵品による陳淳30、徐渭14件の書画と前後の関連明清書画全73件。票価100元。図録あり
陳淳出品リスト(書法9件・絵画21件):
 石壁雲生図、海棠花図、墨筆春花図、為石橋作山水図、行草採菱曲、花卉図、草書李白詩五首、洛陽春色図、商尊白蓮図、墨花八種図、松石萱花図、松溪草堂図、溪山幽意図、小米雲山図、行草自作詩、牡丹湖石図、溪山氾舟図、草書秋興八首詩、行草自書詩、三清図、行草七言絶句、草書游白蓮寺五言詩、花蝶図、山水図、竹石菊花図、行書自書詩、平岡遠眺図、山水図、草書唐岑参和賈至詩、罨画山図
徐渭出品リスト(書法6件・絵画8件):
 南博:雑花図、三清図、三友図、三江夜帰詩
 天津博:草書七律詩、竹石水仙図、魚蟹図
 蘇博:行書詩、応制詠剣詩、応制詠墨詩
 上博:草書杜詩、草書自作春雨詩、牡丹竹石図、漁婦図
《乾坤清氣─故宮、上博珍藏青藤白陽書畫特展》
2006年9月9日至11月19日 澳門藝術博物館(終了)
北京故宮博物院、上海博物館蔵品による陳淳、徐渭の書画120套298件。空前の規模の特別展。大型図録、論文集あり(上記参考書欄参照)   展示リスト参照
《明代絵画と雪舟》
2005年7月2日(土)-8月14日(日) 根津美術館(終了)
   →展示品リスト 徐渭「拝孝陵詩意図」「花卉雑画巻」など
泉屋博古館東京分館《開館記念展》
2002年10月25日-2003年2月2日(12月11日展示替)(終了)
世界的に著名な住友コレクションから中国古銅器と中国絵画の展示
徐渭「花卉雑画巻」など







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 明時代3 逸格の系譜 徐渭  2002.12.3作成 

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