9月 6日(水) 済南市博物館 山東省博物館
済南市博物館
済南市博物館では特別展《済南洛荘漢墓首期出土文物精品展》(8元)が開かれていました。
洛荘漢墓は、山東省章丘市で最近発掘され話題になった前漢初期、紀元前186年頃、呂国王呂台が墓主と推定される大規模な墓です。
「首期」、発掘の第一報告ということもあり展示は地味ですが、秦始皇帝の銅車馬(馬も含め全て金銅製のため少し縮小されています)と同じモデルの馬車の実物が、出てきたのはびっくり。しかし洛荘漢墓では金メッキをほどこした青銅の金具以外の木の部分が腐ってなくなっており、全体は想像で復元する必要があります。会場にはいちおう実物大の復元模型が展示されていました。
その他当時の生活の様子を知る上で興味深い出土品が少しづつケースに置かれていましたが、是非見たいと思ってきたのは楽器の展示。
洛荘漢墓は、編磬6セット107磬という大量の磬を含む、編鐘1セット19鐘、建鼓1面、懸鼓2面、瑟7面(金メッキの枘)という編成の楽器群が出土したことで有名です。ほぼ実物が展示され、前漢の王家の礼楽のさまを彷佛とさせます。会場で出土楽器を使った復元演奏の番組の録画を見ました。
澄んだ鐘、余韻の短い磬の「金石の音」は、古琴の音色を譬えるのによく使われます。録音を通してですが、洛荘漢墓の音色はうたがい無く太古の遺音をイメージする縁(よすが)となるものと感じました。
山東省博物館
山東省博は容れ物も大きいですが、恐竜もでかいです。

その他、石刻などの展示は時間がなかったので駆け足で。
トツゼン番外編
山東の料理の皿はでかいと、きのう列車の任さんはいっていました。
この日、なにげなく大衆食堂でたのんだ拌黄瓜(碎いた胡瓜のニンニク醤油あえ)の1皿は、山東ショック!と呼ぶにふさわしいでかさでした。
知りあいの山東人のでかいのもこれで納得です。
博物館に行く路の途中でみかけた薬酒屋の陽気なヨッパライおじさん人形
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山東の揚州八怪 高鳳翰
博物館3階の書画の部屋では揚州八怪の一人、山東省出身の高鳳翰(1683-1749)の展示。山東省博物館、青島市博物館、膠州市からの40点ほどの書画と自筆草稿などがありました。
高鳳翰は揚州八怪の中でも地味な存在のために、日本でこのようにまとまって紹介されることはまずないでしょう。ちなみに日本にいる時は『高鳳翰硯史』『中国篆刻叢刊 清3』(いずれも二玄社 後者は高鳳翰の篆刻を含む)や中国絵画の画集の中に画を散見する程度で、なかなか高鳳翰その人のイメージをとらえにくい人でした。
今回の展示では、紀年のわかる書画の内右手で書いた比較的謹厳なスタイルのものが12点、1737年丁巳(55歳)以降の右手を病み左手で書くようになってからのものが約20点、残りは年号が書かれていないものです。
初期の右手のものでは「芭蕉葵図」(絹本水墨設色 1714甲午32歳 山東省博藏)が「徐渭に倣う」とあり高鳳翰の画のより所の一つを知ることができます。
右手の大作「雲壑松風図」(絹本水墨淡彩 1724甲辰夏42歳 山東省博藏)が、「気宇」の大きさといった山水画に重要な空間の広がりは無く(八怪の時代は山水画が衰えていますので無理はないのですが)、むしろ画中に表現しきれなかった何ものかの「気配」の大きさを感じさせます。
その10年後の精緻な山水書画冊(紙本水墨設色 1734甲寅52歳 山東省博蔵 全12開のうち《柳園図意》《邗溝春汛》《弘済江天》《岳台春暁》の8開の書画が展示)が印象に残りました。
そうして丁巳(1737年55歳)以降の左手の時代に突入します。
展示には、以前南京博物院の展示で見た晩年の墨梅の、水墨の墓標のような凄みをかんじさせるものはなく、画屏4幀の内のおそらく左の部分が残った墨梅(紙本水墨 1744 61歳頃?)や、数点の左手の草書が眼にとまりました。
画の主題別には、山水花卉を描いていますが、山水はむしろ古木怪石を得意にし、花卉は牡丹を好むように思えます。数点の石図、牡丹図があり、この春の嘉徳のオークションプレビューでも牡丹書画巻を手にとって見たばかりです。
こうしてまとめて見た後、高鳳翰のイメージが明快にむすんだかというと、そうではありません。展示された作品全部が必ずしも1級のものではなく(保存が悪く退色しているものもままありました)、真贋も難しい(特に後半の展示)。
わたしにとって高鳳翰は、表現される以前の「気配」の書画家、文人として依然としてあります。
6月05日(火) 北京 済南
06日(水) 済南 山東芸術学院 市博物館 山東省博物館
07日(木) NEXT→曲阜 孔子廟 孔府 孔林
08日(金) 泰安 泰山
09日(土) 泰山頂上 岱廟 泰安 青島
10日(日) 青島 老舎、聞一多、康有為故居 小魚山公園 小青島公園
11日(月) 石化楼 嶗ロウ山 青島
12日(火) 北京
北京信息 2001.6.22写
更新
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