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 奈良時代の彫刻 古典的な人間観の成熟2 天平盛期彫刻

奈良時代
【彫刻の発想】
塑像的な発想   木彫的な発想
金銅 乾漆(脱活、木心) 塑像 ←→ 木彫 石彫(日本には良質な石が少ない)
粘土を盛上げて作る(内から外) 彫り刻む(外から内)
柔らかい素材
細やかな表情(触覚)

堅い素材
道具(2次触覚)鑿 彫り迹
自然な肉付きや比例 一種の抽象性
飛鳥奈良、近代に多い 平安鎌倉以降に多い
【大仏の造営】
大陸の大仏制作流行の影響 洛陽龍門石窟 675奉先寺盧舎那大仏
平城京 官営工房の整備:造寺司、造仏司 造仏長官:国君麿(くにのきみまろ)
金鐘寺(こんしゅじ)→金光明寺造仏所
→造東大寺司(造仏所、木土所、鋳所、造瓦所etc.)に発展
752東大寺盧舎那大仏開眼

天平盛期彫刻
【東大寺法華堂(三月堂)と戒壇院の彫刻群】
●法華堂 740年代創建 三月法華会を行うための堂 特別な磁力を放つ空間
法華堂須弥壇  現在堂内は他の像も混在し当初の様子が不明
〔法華堂八角須弥壇(約6m)創建時配置復元図〕
 羂索観音を塑像群7体が守護神として囲む
 (図の数字は下記彫刻名冒頭の番号に対応)
 彫刻群全体として古典的な円錐形の空間
 法華堂彫刻群は強力な救いを求める仏教と五行思想など古代宇宙観が混成して配置
 現存する唐時代彫刻、天平彫刻の中でも最高水準の彫刻群と空間
[脱活乾漆像]
1.不空羂索観音菩薩立像 362cm 台座とも約5m 現在、光背が下がる
 三目八臂(雑密(→純密)の信仰) 手に如意宝珠 天衣と鹿皮を着せる
[塑像]
2.伝日光菩薩立像(梵天か) 207cm 袷の衣 戒壇院と一具
3.伝月光菩薩立像(帝釈天か) 205cm 丸首の衣 より瞑想的
8.執金剛神立像(秘仏) 170.4cm 天平の繧繝彩色 戒壇院四天王と一具
戒壇院四天王立像 160.5-170cm 瞳に黒石 木胎塑像(心木で大体の形を作る)
戒壇院四天王
 ●6.広目天 西北(吽)静遠┌ ┐●7.多聞天 東(吽)静遠
 ●5.増長天 西(阿)動近└ ┘●4.持国天 南(吽)動近
古代の宇宙観:五行思想 人体による統一した宇宙空間 無重力性
盛期ルネッサンス:新プラトン主義(古代思想のルネッサンス)による造形
ミケランジェロの四元素:朝昼夕夜と四天王の造形の比較
 1511システィナ礼拝堂天井壁画のイニューディ(青年ヌード) 朝昼夕夜
 1524-33頃メディチ家礼拝堂彫刻 昼夜、ロレンツォのメランコリーと朝夕
 1530-6頃ユリウス2世霊廟のための未完彫刻 夜 アカデミア美術館
【その他の法華堂彫刻群】
[脱活乾漆像]
以下の8体はもと金光明寺から?(松浦説)
●梵天、●帝釈天立像 402、403cm
金剛力士像 ●阿形、●吽形 326、306cm 皮の甲(よろい)
四天王立像 ●持国天、●増長天、●広目天、●多聞天 300-310cm
(参考:●葛生井寺千手千眼観音坐像 脱活乾漆漆箔 最古の千手観音 131,3cm 1042臂)
[塑像]
◎吉祥天、◎弁才天立像 202、219cm 厨子に入る 他堂から

●新薬師寺十二神将 153-170cm 「天平」銘 瞳にガラス 迷企羅像など
  →参考:伐折羅像のデジタル画像 彩色復元

天平時代の彩色
色:  +の輪郭   明暗:
輪郭線の色の変遷 飛鳥 奈良 平安前期 平安後期 鎌倉
文様 繧(暈)繝(うんげん)彩色 紺丹緑紫の帯状グラデーション
   宝相華文様:イスラム起源の花のデザイン、中国盛唐で爛熟を極める
 戒壇院 四天王 :繧繝彩色+切金文様
 新薬師寺十二神将:繧繝彩色+切金文様+没骨文様(輪郭線がない文様)

古典 Classic とは
1.繰返し立ち戻り「現在」の糧にできる「古」の遺産
2.ある様式の発展過程のなかで、時代と創造のバランスが調和した瞬間
  この時はこの過程にあって二度と再び戻ってこない
3.人間と自然に対する深い洞察(内)と写実(外)との調和した表現
  適度な捨象と理想化

西洋 彫刻 ギリシャ盛期彫刻
   絵画 盛期ルネッサンス
東洋 彫刻 天平彫刻(初唐,盛唐彫刻)
   絵画 (盛唐呉道子の道釈人物画)、北宋山水画


参考書
水野敬三郎 奈良・京都の古寺めぐりー仏像のみかた 岩波書店 1985年
水野敬三郎 日本彫刻史研究 中央公論美術出版 1996年
奈良六大寺大観 東大寺 岩波書店 1970-73年(1979年-再刊)
参考サイト・展覧会
神奈川仏教文化研究所 仏教美術関係ニュースなど(2011年中断)
東大寺ミュージアム開館記念特別展「奈良時代の東大寺」 2011年10月10日-
 不空羂索観音菩薩立像と日光・月光両菩薩立像は東大寺ミュージアムで公開
 法華堂須弥壇修理事業のため平成25年2013年3月末日まで法華堂の拝観停止
 執金剛神開扉も平成23年度、24年度は中止
特別展「大仏開眼1250年東大寺のすべて」 奈良国立博物館 2002年4月20日-7月7日


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 日本美術史ノート 奈良時代の彫刻   2002.5写 

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