起手式 始めかた
山水画を描くには、先ず樹(き)の描き方から始めます。樹は幹(みき)から描いていきます。
畫山水先学畫樹,畫樹先畫樹身。
一つの「叢」の中にも表裏があります。第一株が左を向いていれば、第二株は左を向かないようにします。二株が異なった向きをもつものを「分向」といいます。第三株は第一株と同じ向きです。第三株の頭が第一株と同じ向きで、枝が異なった向きをもつものを「調停」といいます。
一樹の梢や枝が真直ぐ上に伸び、側の樹の枝がそろって二つに分かれているのものを「破式」といいます。
林一つのものを「単叢」、二つのものを「双叢」といいます。二つの林が相対して同じにようにしないように、株の多い少ないの変化をもたせます。
一叢之内有向有背。第一株向左,二株不得又向左。二株両向謂之分向。三株即同一株之向。三株頭與一株同向,枝或両向謂之調停。
一樹枝梢直上,傍樹枝即宜両分,謂之破式。
或止畫一叢謂之単叢。或畫二叢謂之雙叢。二叢或二或三或四或五。不可二叢相對一様。二叢不妨或太多或太少。
春林
枝が、枯れて脆くなっているものを「寒林」、やわらかく潤ってつややかなものを「春林」といいます。
稍に少し点をつけて新緑とします。新緑の点は一色です。いろいろな点を描き分け疏林とします。
枝の上に空白を残し、淡墨で枝の外を染め雪樹とします。
先に枝を好く描き点を加えます。一枝には一枝の勢があります。もし枝の内に点葉が草のようについているものがあれば、これを勢がないといいます。
樹はあまり真直ぐすぎず、曲がりすぎないように。真直ぐなものは平板になり、曲がりすぎのものは俗になります。
直立する樹の幹は高く痩せています。傾いでいる樹の幹は太っていることもあります。
柳を描くには、先ず二つの向きをもつ枯樹を描き、長い條を加え、下に垂れる枝を添えます。垂れる枝を2本の輪廓で描くのはまずいです。
枝枯脆者為寒林。技柔弱而潤沢者為春林。稍差點者為新緑,新緑一色點。分各様點者為疏林。枝上留白而用淡墨染其枝外為雪樹。必先畫枝好而加點者,一枝有一枝之勢。若云枝在内,而點葉在枝可[潦]草,謂之不得勢。
樹身不宜太直,直則板。不宜太曲,太曲則俗矣。
樹直立者身宜痩宜高。欹斜者不妨,身闊。
畫柳宜先両成枯樹,然後加長條,添下垂枝方是柳。不宜早勾下垂條。