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 中国絵画史ノート 唐時代2 山水の変 中唐の溌墨画家たち 水墨画の発生

山水の萌芽から山水の変へ
[思想] 儒教、仏教、道教の三教のうち
 道教 老荘思想 神仙思想 養生術 練丹術 風水
    山岳信仰 → … 山水画へ
    宇宙樹  → … 樹石画へ?
[図形山水]
A.山岳文様の系譜
殷周       漢        六朝
雲気文=爬虫文 →山岳文様    →山岳図→ … 山水画へ
青銅器      漢墓出土品    玉虫厨子
 1.螭首(ちしゅ) 2.「C」字「S」字曲線の胴体 3.瘤節(りゅうせつ)

B.「山」字の系譜
殷周       漢        六朝
「山」字    →三山形式    →顧愷之洛神賦図の山水
甲骨文字     博山炉      法隆寺五重塔塑壁山水など

盛唐の山水の変
山水の変は呉道玄(呉道子)に始まり、李思訓、李昭道父子に成った
 (張彦遠『歴代名画記』巻1 論画山水樹石
AB図形山水から自然主義の変革 人物画の爛熟を基盤→人物背景の空間の確立
李思訓653-718 青緑山水 参考:伝展子虔《游春図》北京故宮博物院
呉道子-704-749- “呉装”の山水 参考:《騎象胡楽図》正倉院琵琶捍撥面
[エピソード]
天宝年間742-755玄宗の命により、蜀道嘉陵江三百余里の山水を大同殿に描いた。李思訓は数ヵ月かけ、呉道玄は1日で完成した(朱景玄『唐朝名画録』)

8,9C 中唐の溌墨画家たち 水墨画発生時の3つのポイント

1.水墨画発生時の2つの流れ 主題  技法
山水画=水墨画
2.顔料の性質 色彩 →墨
3.水墨画の南北問題 華北←→江南

1.水墨画発生時の2つの流れ
 ┌Aの流れ 破墨 張璪、王維 華北(正統)
 └Bの流れ 溌墨 顧性、王墨 江南(反正統)

[Aの流れ] 線の拡張破墨
白画 人物画の線の美しさ 形態 鉄線描→蘭葉描 白描画とも呼ぶ
破墨 山水画のモデリング 肉付 輪郭線を墨で破る
 張璪「外は造化(自然)を師とし、中は心源を得る」
   ただ禿筆を用いあるいは手で絹を模す
   長安で山水障壁画8幅を描いている途中、朱泚の乱783にあい、
   破墨がまだ終らないのに、都から逃げた。
 王維 余(張彦遠)はかつて王維の破墨山水を見た。筆迹は勁爽だった

[Bの流れ] 線の否定溌墨
溌墨 山水画の空間のリアルさ、色の不自由さの問題を解決
中唐の溌墨画家たちの水墨画:作画過程=完成体

1.共同の期待を高める場
2.溌墨でマチエール造り 偶然の不定形な面
  レオナルド、ボッティチェルリの例
3.イメージを投影する手がかりの線、共同の約束事のモチーフ(楼閣etc)
  イメージを画以外のもの、共同の約束事や観念に負う
張彦遠は批判的 1.画ではない 2.骨法、線がない 3.倣うことができない
現代美術との共通点
 〈溌油!〉;ポロックのaction painting クラインのヌード測定プリント
  過程芸術;クリストの梱包 インスタレーション

2.顔料の性質
岩絵具(鉱物顔料) 粒子粗い→狭いグラデーション、混色が不自由
 暈繝彩色(段階的gradation) 不自由さから生まれた彩色法
油絵具       油の媒剤→広いグラデーション
 水墨により自在なグラデーションをえる

3.水墨画の南北問題
┌A 華北(正統)  構築性   筆(線)
└B 江南(反正統) マチエール 墨(面)
南方の没骨(輪郭線のない面的な描き方)画の伝統
 董源…徐氏体…常州草虫画…徐渭…(琳派…朦朧体)…嶺南派etc.

参考:清時代の破墨・溌墨に対する考え方
法有溌墨破墨二用:
破墨者,先以淡墨勾定匡廓,匡廓既定,乃分凹凸;形體已成,漸次加濃,令墨氣淹潤,常若濕者,復以焦墨破其界限輪廓,或作疏苔於界處。
溌墨者,先以土筆約定通幅之局,要使山石林木,照映聯絡,有一氣相通之勢,於交接虚實處,再以淡墨落定,[浸]濕墨一氣寫出,候乾,用少淡濕墨籠其濃處,如主山之頂,峰石之頭,及雲氣掩斷之處皆是也。
南宗多用破墨,
北宗多用溌墨,
其為光彩淹潤則一也。
(清 沈宗騫『芥州學畫編』用墨)


中唐以降の絵画
845会昌の廃仏→張彦遠『歴代名画記』 寺観壁画の衰退 山水画へ
[宗教] 密教  中央 知的 →衰退
     禅宗  江南 実践的→発展 本来は偶像崇拝を必要としない
     浄土宗 地方 大衆的


参考書
小川裕充「唐宋山水画史におけるイマジネーションー溌墨から「早春図」「瀟湘臥遊図巻」まで一」(『国華』1034〜1036号)
世界大美術全集 東洋編4 隋唐 小学館 1997年
張彦遠/長広敏雄訳注 歴代名画記 平凡社 東洋文庫305、311 1977年
中国古典文学体系54 文学芸術論集 目加田誠編 平凡社 1974年 歴代名画記訳
小杉一雄 中国文様史の研究 殷周時代爬中文様展開の系譜 新潮社 1959/1973年
マイケル・サリヴァン/中野美代子訳 中国山水画の誕生 1962/1995年 青土社
参考サイト
ミホミュージアム 滋賀県信楽にある神慈秀明会主、小山美秀子のコレクション
 永星文庫 細川家の名宝 ●戦国 金銀錯狩猟文鏡など



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