琴詩書画巣   古琴音楽   中国絵画   詩・書   中国文人の世界   北京信息   パリ信息   リンク  
   中国絵画News | 中国絵画の流れ | 日本美術史ノート | 中国絵画ことのは   胸中の丘壑  荊浩筆法記
  林泉高致   課徒画稿
  雨窓漫筆   畫語録

 鎌倉時代の彫刻 鎌倉の写実とは

鎌倉時代1184-1333の彫刻
平安末→鎌倉 ┌二者併存┌貴族文化  伝統的なもの
            └武士の気宇 革新的なもの
  写実彫刻 ┌宋の影響 「宋風」仏画図像を手本…→ものの見方の影響
       └天平、平安初のルネッサンス

東大寺、興福寺の復興
1180年治承四年12月28日平重衡の南都焼打ち
[東大寺]
東大寺の復興のため、入宋3回の俊乗房重源1121-1206の勧進
1185大仏開眼供養 宋人陳和卿の鋳造指導
1195大仏殿再建 天竺様建築(現存するのは南大門と浄土寺浄土堂のみ)
 運慶は再建の功により法眼に
1196大仏脇侍二天、四天王 康慶(運慶の父)、運慶、快慶、定覚
1203南大門完成 東大寺総供養
[興福寺]
摂政九条兼実、興福寺別当信円による復興
1186講堂諸像  院尊(京都仏師)
1189南円堂諸像 康慶(奈良)●不空羂索観音、法相六祖像
    四天王(現在中金堂に)が現存(現四天王は定慶の東金堂四天王か)
1194中金堂諸像 明円(京都)
解脱房貞慶による復興
1196東金堂  定慶(奈良)●維摩居士坐像など 53日で彫り法橋幸円が彩色
1208北円堂諸像 運慶(奈良)●弥勒、無着世親が現存
1228食堂諸像  成朝(奈良)●千手観音が現存
[仏師の三大流派]
 定朝→円派 大量生産(京都三条仏所)
   └院派 保守的(京都)
   └慶派 革新的(奈良) 康慶→運慶→湛慶
                 └快慶
                 └定慶

運慶 12C中-1223
[初期]
(1164年蓮華王院本堂 千手観音立像510号 院賀?)
●1175年11月-1176年10月 円成寺多宝塔 大日如来坐像 98.8cm 玉眼
 若く緊張感に満ちた入念な彫りに漆箔仕上げ 高い宝髻 上体をそらす
  “運慶承 安元元年十一月廿四日始之
    給料物上品八丈絹肆拾参疋也
    已上御身料也
  奉渡 安元弐年丙申十月十九日
     大仏師康慶
    実弟子運慶
(花押)” (台座蓮肉下面に仏師の最古のサイン)
◎1186年興福寺木造仏頭 元は約2.5mの釈迦如来坐像→江戸時代に体部焼失
 興福寺別当信円文治二1186年1月28日の日記「興福寺西金堂の本尊が運ばれてきた。大仏師運慶に賞として馬を与えた」(『類聚世要抄』2007横内裕人調査)
●1186年伊豆韮山願成就院 阿弥陀如来像,不動三尊像,毘沙門天像 北条時政の爲
 古典研究による写実とつよい量感をもつ新様式
◎1189年三浦半島芦名浄楽寺 阿弥陀如来像,不動三尊像,毘沙門天像 和田義盛の爲
[壮年期]
1193年建久四年 三尺大日如来像 66.1cm檜 像内納入品あり 真如苑
 栃木県足利市樺崎寺下御堂法界寺本像?… 明治初期廃仏、民間へ流出→
 2008年3月Christie'sにて1437.7万ドル(約14億円)で落札、真如苑へ
1194年東大寺中門二天7m(焼失)
長野県諏訪市仏法紹隆寺 不動明王立像 新発見)
◎1196年建久七年栃木県足利市光得寺大日如来像 足利氏のため 像内納入品
 柔和な運慶風 建久四年大日如来像からの展開
1196年東大寺大仏脇侍二菩薩、四天王13m 康慶・運慶・快慶・定覚(1576焼失)
(◎海住山寺四天王像 大仏四天王の雛型か)
●1197年建久八年高野山金剛峯寺八大童子像6体、三宝院 弘法大師像
 矜羯羅童子 制多迦童子 恵光童子 恵喜童子 烏倶婆迦童子 清浄比丘
東寺講堂諸像修理 文覚上人の依頼(焼失)
京都東山 六波羅蜜寺 地蔵菩薩坐像 90cm 運慶風 父康慶の死を弔う?
◎1201年建仁元年岡崎市滝山寺聖観音、梵天、帝釈天像 頼朝の髪歯を納入
●1203年7月24日-10月3日東大寺南大門仁王像 寄木造 現存世界最大の木彫
(1988-93年大修理 胎内から納入経、山口県産の原材を使用)
阿形仁王 阿形仁王(氣を外に)836cm 西側 吽形仁王(氣を内に)842cm 東側 吽形仁王
大仏師 運慶+快慶
小仏師13人(金剛杵から発見)
大仏師 定覚+湛慶
覚円、源慶等小仏師12人(納入経から発見)
線的、平面的、正面観→快慶風 立体表現、奥行きのある動勢→運慶風
[晩年へ]
(●1206年東大寺俊乗堂 重源上人像 迫真の写実 充実した彫刻空間 運慶説)
1208-12年興福寺北円堂の諸像
 関白藤原家実のため 運慶は惣大仏師 運慶工房の集大成
弥勒仏坐像 源慶、静慶 141.9cm きびしい表情 古典を吸収した成果
二脇侍菩薩 (現存せず)法橋運覚
四天王持国天(南円堂四天王か)法眼湛慶…→●1254三十三間堂千手観音坐像
   増長天(上同)  法橋康運
   広目天(上同)  法橋康弁…→●1215興福寺天燈鬼、竜燈鬼像
   多聞天(上同)  法橋康勝…→◎13C初 六波羅密寺空也上人像
(現在堂内には●761大安寺旧蔵四天王像 木心乾漆)
●無着像 運助 195cm 老年の姿、衣紋 茶紫の玉眼 深く巨大な彫刻空間
●世親像 運賀 壮年の姿 桂材(杉山淳司スプリング8による調査)
 (無着・世親は4Cインド法相宗を確立した兄弟)
[最晩年]東国とのつながり
大威徳明王坐像 ◎1216年建保四年称名寺光明院大威徳明王坐像 21.1㎝ 1998年発見
 像内納入品:蓮実舎利文書
文書奥書:“建保二二年(丙子)十一月廿三日源氏大弐
殿大日愛染王大威徳三躰内
大威徳也巧造肥中法印運慶也

発注者は「源氏大弐殿」(「大弐局」は甲斐源氏加賀美遠光の娘、将軍頼家、実朝の養育係『吾妻鏡』)

鎌倉の金銅仏
●1252年高徳院阿弥陀如来坐像 1139cm 金銅 鎌倉大仏 →デジタル復元画像

鎌倉以降の仏教彫刻の衰退
[内的な衰退の理由] 鎌倉彫刻の写実性自体に彫刻の充実を弱める力
鎌倉の写実とは
1.〈世俗的な関心〉
 超越的な姿から普通の人間の姿へ
 神のような人体から目の前に生きているような人体へ
 生身の仏 真身像 裸形像
2.〈絵画的な関心〉
 彫刻的なマッスの充実感から、表面の動勢、筋肉の形(玉眼,耳の穴,血管など)へ
3.〈空間への関心〉
 空間からの彫刻の独立=周囲の建築空間をも意図して作る
●1194頃兵庫浄土寺浄土堂 阿弥陀三尊 重源のプロデュース、快慶の作
 春分の日の夕陽を背景にした光の効果…(中世の能面、生花、座敷飾りへ)
[外的な衰退の理由]
鎌倉新仏教の興隆(浄土宗の偶像不要、禅宗の偶像否定)


参考書
水野敬三郎 奈良・京都の古寺めぐり─仏像のみかた 岩波書店 1985年
日本美術全集 第10巻 鎌倉の建築・彫刻 運慶と快慶 講談社 1991年
奈良六大寺大観 岩波書店 1970-73年(1979年-補訂版)
日本古寺美術全集 25巻 集英社 1979年-
山本勉ほか著 運慶 リアルを超えた天才仏師 新潮社とんぼの本 2012年
副島弘道 運慶その人と芸術 歴史文化ライブラリー101 吉川弘文館 2000年
田中英道 運慶とバロックの巨匠たち 弓立社 1998年
仁王像大修理 朝日新聞社 1997年 東大寺南大門仁王の修理委員会による記録
水野敬三郎 日本彫刻史研究 中央公論美術出版 1996年
院政期の仏像 定朝から運慶へ 京都国立博物館編 岩波書店 1992年
久野健 運慶の彫刻 平凡社 1974年
参考サイト
興福寺  興福寺文化財データベース
シンポジウム=「興福寺 波乱と復興の1300年、そして今」
奈良ネット 奈良の寺社情報   円成寺
田澤坦 佛師運慶の研究 1954年
妙法院と三十三間堂 湛慶 風神・雷神など
興福寺 北円堂特別開扉
春季:4月26日-5月5日頃 秋季:10月25日-11月10日頃 (9:00-16:00頃)
 美しい八角円堂にある無着・世親像が拝観できます。詳しくは上記興福寺サイトで確認

おすすめ美術展
神奈川県立金沢文庫80年 特別展運慶-中世密教と鎌倉幕府-
金沢文庫 2011年1月21日(金)-3月6日(日)(終了)
●1176年20代円成寺大日如来坐像 など
その他関東の運慶を中心に展示
特集陳列 平成20年新指定国宝・重要文化財
東京国立博物館 2008年4月22日(火)~2008年5月6日(火・休)
◎木造大威徳明王像/像内納入品 運慶作 鎌倉時代・建保4年(1216) 神奈川・光明院蔵
特別展「金沢文庫の仏像」 特別公開 運慶作大威徳明王坐像
金沢文庫 2006年4月19日-6月10日(終了)
新発見の運慶作大威徳明王坐像と像内納入品を初公開、その他称名寺の仏像群を展示
興福寺国宝展
●無着・世親像、金剛力士立像阿形、龍燈鬼立像、維摩居士坐像など展示
仙台市博物館  2005年8月5日-9月11日(終了)
大阪市立美術館 2005年6月7日-7月10日
山口県立美術館 2005年4月12日-5月22日
東京芸術大学大学美術館 2004年9月18日-11月3日
弘法大師入唐1200年記念 空海と高野山
 高野山八大童子像8体全て展示
和歌山県立美術館 2004年10月9日-11月23日(終了)
東京国立博物館  2004年4月6日-5月16日
愛知県美術館   2003年10月10日-11月24日
京都国立博物館  2003年4月15日-5月25日
建長寺創建750年記念 禅の源流展
東京国立博物館 2003年6月3日(火)~7月13日(日)(終了)
無学祖元像など、その人物を彷佛とさせる迫力ある肖像彫刻
●南宋 牧谿 観音猿鶴図 大徳寺(6/3-6/15のみ展示)
●南宋1238 無準師範像 東福寺(6/17-7/13のみ展示) 宋の写実の典型


TOP△


 日本美術史ノート 鎌倉の彫刻   2002.5写 

琴詩書画巣 | 古琴の調べ | 中国絵画 | 詩・書 | 中国文人の世界 | 北京信息 | パリ信息 | リンク