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12月8日(水)快晴  昆曲《牡丹亭》の通し

牡丹亭 夢で結ばれる1歩いて30分の長安大戯院で昆劇『牡丹亭』をやっているので、上中下と見てきました。
昆劇は、京劇より古く(京劇は清時代、昆劇は明時代より)格調高く典雅な世界が展開します。
日本の歌舞伎の元になっているような感じ(能と歌舞伎を結ぶもの)、かつフランスバロックのオペラを観ているような感じ、もちろんそのどちらでもない独自の完結した美しさとおもしろさがあります。京劇のような騒々しさが少なく、美しい流れるような旋律で知られます。琴の音楽にも関係しているといわれます。
出し物は、中国のシェークスピアと呼ばれる明時代の湯顕祖の傑作『牡丹亭』。京劇は毎週のように見ることができ、北京には北方昆曲もあり時々やっていますが、南の昆劇はめったに見られないのです。しかもこんどは本場の上海昆劇団のレベルが高いものが見れます。

今回は55段全部やると丸一日かかるところを35段に圧縮し、上中下に別け3日にわたって上演します。縮めてあるとはいえ、通してやるのは百年ぶりのことと言います。
上は有名な遊園の場面を含むところです。「私が常に一生愛するのは自然だった」(可知我常一生儿愛好是天然)という有名な句を含むここは、特に頼んで結婚式の時、Oさんに歌ってもらったものです。
上中下の中では、主人公の杜麗娘が死んで地獄に行って生き還る「回生」をあつかった中が一番、ドラマに富んでおもしろかったです。観客からは「美極了」という声もありました。

総じてこんどの通しは、私的にはこれから繰り返し思い出すことになるだろう一つの体験でした。保利で上演されていた越劇《紅楼夢》が観客動員数と派手さで、話題を占めていたのですが、

牡丹亭 大団円
  昆劇《牡丹亭》則尽現昆劇表演的純静之美,干浄簡捷而又細貳動人。(北京晩報評)

  本報訊上海昆劇團赴京演出昆曲《牡丹亭》,着實讓北京人大吃一驚, 想不到昆曲這麼美。(北京日報評)


といったように、しばらく何日かはその旋律が頭を巡ってやみませんでした。
(このページを読込む時、また読込み直す時、旋律の断片が鳴ります)


《牡丹亭》(明 湯顕祖)あらすじ

牡丹亭 夢で結ばれる2 南安太守杜宝には娘がおり、麗娘という。師を招き詩経を習っていると、ふいに少女の美貌も落花のごとく消えうせることに不安を抱く。気晴らしに庭園に遊びに行くと、その花咲き誇り小鳥さえずる春の美しさに魅せられてしまう《遊園》。部屋に戻り、疲れからまどろむと、夢のなかで一人の書生と出会い、恋し合うようになる。夢が醒めてからもその書生が忘れられず、夢の中で二人が歩いた庭園に行っては書生の面影を追い求める。しかし所詮は幻に過ぎず、鬱々として遂に病に伏してしまう。余命を悟った麗娘は自画像を書き、自分の美貌を後世に残すと、病が重くなって亡くなり、庭園にある梅の木の下に葬られる。(上)

ところで夢の書生は実在しており、柳夢梅という。麗娘が亡くなってから三年後、彼は麗娘の残した自画像を手に入れる。あまりの美しさに魅入られ毎日拝んでいると、そこに麗娘の幽魂がやってきて二人で愛を誓う。夢梅が麗娘の棺を掘り起こすと、麗娘は息を吹き返しており、ここで彼らは初めて実体をもって会う事になる。(中)

二人は夫婦となってともに臨安にゆき、夢梅は科挙を受けて状元となる。麗娘の父が娘の回生を認めず状元の婿を墓泥棒よばわりして鞭打つなど一波乱あるものの、父母とも無事再会を果たし大団円に終わる。(下)


◆湯顕祖作『牡丹亭』上演データ
演員:上海昆劇団(2000年の欧州公演団)
場所:長安大戯院
日時:
上本 驚夢 12月3、4日7:30〜9:50
中本 回生   5、6日
下本 圓駕   7、8日
演出:郭小男 脚本:王仁杰 司鼓:高均など 司笛:銭寅など
配役:
      杜麗娘      柳夢梅
上本 驚夢:沈[日失]麗     張軍 (若手組)
中本 回生:李雪梅      岳美[糸是]
下本 圓駕:張静嫻      蔡正仁(長老組)





  北京信息   2000.2.29更新

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