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 桃山時代の絵画3 水墨画の展開 永徳以降

桃山の武人画家
断絶の武家の血 武人的な覇気

海北友松 かいほう・ゆうしょう 1533-1615
[生涯]
“誤って芸家になった”(「夫婦像賛」)
名は紹益 近江浅井家の重臣・海北善右衛門尉綱親の子
織田信長の浅井長政攻略により海北家滅亡 出家、東福寺で修業?
1573年武門再興を志し還俗 画事より弓馬にはげむ
武道の師:豊臣秀吉の部将亀井茲矩
風流の友:明智光秀の家老斎藤利三 ?‐1582、真如堂東陽坊長盛 1515‐98
連歌の師:里村紹巴 五山の禅僧とも交友
1582年6月処刑された斎藤利三の遺骸を厚く葬った(「夫婦像賛」)という伝説
細川幽斎の要請で吉田兼治邸の障壁画制作
1592年60歳中院通勝の詞書、友松墨画源氏物語絵巻5巻54図を描く(図は消失)
1593年頃施薬院の茶の湯で秀吉に画才を見いだされ、この頃から画事に専念
 秀吉の命による屏風絵や伏見城障壁画制作
1598年慶長三年66歳石田三成、連歌師兼如是斎と博多へ一月半旅行
 子に友雪、画風を継ぐ者に曽田友柏、鉄山東流、神前松徳ら …江戸の海北派
[作品]
南宋画院画家梁楷の様式を意匠化した袋人物袋岩の水墨 晩年に金碧水墨大和絵
50代頃 現存初期作 永徳、山楽など狩野派に学ぶ
伝永徳 琴棋書画図屏風 153.8×352.6cm フリーア美術館 永徳影響下の作?
柏猿猴図対幅 177.5×138.4cm サンフランシスコアジア美術館 永徳影響下の作?
60代友松様式完成期【落款A型】「友」字第1画横画長、第2,3画角型 「友松」A印
1594年文禄三年62歳頃建仁寺大中院(旧華溪庵)山水図、蘆鷺図
1594年文禄三年62歳以降建仁寺霊洞院 花鳥図、唐人物図、草山水図、松竹双鶴図
1597年慶長二年65歳頃◎建仁寺禅居庵 松竹梅図襖絵 友松様式の確立
1599年67歳◎建仁寺本坊方丈障壁画 代表作(1934室戸台風→50幅掛軸 京博に)
 礼の間 《雲龍図》 紙本墨画・8面(北側4面・西側4面)
 室中の間《竹林七賢図》 紙本墨画・16面(東側4面・北側8面・西側4面)
 檀那の間《山水図》 紙本墨画・8面(北側4面・東側4面)
 衣鉢の間《琴棋書画図》 紙本着色・10面
 書院の間《花鳥図》 紙本墨画・10面(現在8幅)
衣鉢の間
琴棋書画図
仏間 書院の間
花鳥図
檀那の間
山水図
室中の間
竹林七賢図

礼の間
雲龍図
◎1602年飲中八仙図屏風 京都国立博物館 因幡国鹿野城主亀井茲矩(これのり)の依頼
 1602年慶長七年70歳12月山水図屏風 6曲1隻 東京国立博物館 桂宮智仁親王のため
◎楼閣山水図屏風 MOA美術館
 楼閣山水図屏風 サンフランシスコアジア美術館
◎雲龍図屏風 北野天満宮  
70代晩年円熟高峰期 重厚激烈から軽妙瀟洒へ
【落款B型】
「友」字第2画突出、第2,3画丸型 「海北」二重圏印と「友松」B印
◎婦女琴棋書画図屏風 東京国立博物館 紙本金地着色
1605年慶長十年73歳浜松図屏風 六曲一双 大和絵金碧水墨画 三の丸尚蔵館
 同年頃 網干図屏風 六曲一双 三の丸尚蔵館 両屏風は智仁親王の求め
3点の「妙心寺屏風」(通常の屏風より25cmほど高い大屏風、6段の紙継ぎ):
◎花卉図屏風 妙心寺 紙本金地着色 大和絵金碧水墨画 意匠化
◎三酸・寒山拾得図屏風 妙心寺 紙本金地着色
◎琴棋書画図屏風 妙心寺 紙本金地着色
最晩年の孤高の日本的水墨画:
《月下渓流図屏風》 紙本墨画淡彩 六曲一双 各169.0×353.0cm
 ネルソン・アトキンズ美術館   「春の夜明け頃、靄にけぶり光と影が微妙に交錯する瞬間」(山本)の情景。江戸初へつながる余白を生かした淡麗瀟洒な画風へ
押絵貼行草体水墨画の一群 公家層の支持と交流、高僧の題贊
1613年慶長十七年81歳禅宗祖師・散聖図屏風 107.2×51.5cm 静岡県立美術館 
 山名豊国(号禅高)のため妙心寺80世・静岡臨済寺4世鉄山宗鈍の賛


雲谷等顔 1547-1618
[生涯]
佐賀生れ 藤津郡能古見城主原豊後守直家の次男、原治兵衛直治 →主家滅亡
1573-92天正年間佐世宗孚を寄親(よせおや) として広島毛利輝元に抱えられる
1593年毛利輝元から雪舟山水長巻と旧居雲谷庵を賜って剃髪、雲谷等顔に改名
1611年法橋叙位        ……雲谷派として続く
[作品]
克明な筆致、大胆な構成、沈着な武家好みの画境
古風な様式 雪舟等楊にかえる 雪舟山水長巻の模写
1588年◎大徳寺黄梅院方丈障壁画 小早川・毛利家 山水図竹林七賢図、雁図
◎春夏山水図屏風 金地彩色 個人蔵 もと益田元祥邸の襖絵 水墨のトーン
◎山水図屏風 紙本墨画淡彩 東京国立博物館 等顔の代表作、石見益田家旧蔵
●伝雲谷等顔 四季山水図巻 毛利博物館 次男雲谷等益1591-1618の作?
◎伝雲谷等顔 梅に鴉図襖絵 金地淡彩 京都国立博物館 次男等益の作?
  小早川隆景の名島城襖絵? →城郭襖絵「梅に鴉の図」の謎


永徳以降の狩野派

狩野光信 1565-1608
[生涯]
父永徳とは異なる繊細で優美な個性
江戸初“古右京”、“下手右京”(木村探元『三暁庵雑志』)の称
[作品]
1576年安土城、1592肥前名護屋城障壁画
1600年◎三井寺園城寺(おんじょうじ)勧学院客殿 四季花木図襖絵
   大和絵の情緒、瀟洒な画面、余白
1600頃◎法然院方丈障壁画 紙本金地着色
 二之間西側:槇海棠図 4面
 上之間西側:花鳥(桐・芍薬・竹)図4面、北側床貼付3面、若松図違棚奥貼付3面
1603年徳川秀忠邸障壁画
   ◎妙法院玄関、大書院障壁画
   ◎高台寺霊屋障壁画
    都久夫須麻(つくぶすま) 神社本殿

京狩野
狩野山楽 1559-1635
[生涯]
近江の武士の生れ 浅井長政の家臣木村長光の子、木村光頼
後に豊臣秀吉に仕え、その推挙で永徳の弟子に 修理亮(しゅりのすけ)
剃髪して山楽に
1615年豊臣氏滅亡 男山八幡宮に逃れる 弟子松花堂昭乗により徳川家に許さる
[作品]
豪壮な永徳画風の中に装飾性への志向 安定した構図、ゆったりした小刻みな筆触
1588年東福寺法堂天井画、蟠竜図(1881年焼失) 永徳の後を継ぎ完成
1594年伏見城障壁画 豊臣家
   ◎鷙鳥図襖絵 水墨画 個人蔵 鷙鳥(しちよう 鷲や鷹)の弱肉強食の世界
1619年頃◎大覚寺宸殿障壁画 牡丹図、紅梅図など 金地濃彩 山楽の代表作
 牡丹の間 全18面縦184.0cm共通 全株の牡丹と石が3方を取り囲む
 西側4面横153.5cm 北側左4面中央4面99.0cm 右2面93.5cm 東側4面153.5cm
1619年◎正伝寺方丈障壁画58面「西湖図」墨画淡彩金泥引き
 1602-10家康伏見城本丸御殿→1623大坂城御座所→1626金地院御成間→1652正伝寺
衣鉢の間
西湖図
仏間 書院の間
檀那の間
西湖図

室中の間
雪景山水図
礼の間
西湖図
1621年◎養源院唐獅子図 本堂中央室須弥壇下羽目板貼付3面(?西室牡丹の間)
1623年四天王寺絵堂板絵 聖徳太子絵伝
   南禅寺本坊大方丈 松に麝香猫図
 帝鑑図屏風、車争図屏風 東京国立博物館
 犬追物図屏風 常盤山文庫
◎文王呂尚・商山四皓図屏風 妙心寺 紙本金地着色
◎厳小陵・虎渓三笑図屏風 妙心寺 紙本金地着色
◎龍虎図屏風 妙心寺 妙心寺屏風・紙本金地着色 永徳をしのぐ力

狩野山雪 1590-1651
[生涯]
佐賀生れ 狩野山楽の養子 蛇足軒、桃源子など文人風の雅号 晩年獄中に?
学究肌の理論派 初の本格的な日本絵画史『本朝画史』 子の永納がまとめる
マニエリズム風の絵画 幾何学的構成
[作品]
1631年42歳◎妙心寺天球院襖絵 金碧濃彩、水墨画 理知的幾何学的構成
 表(ハレ):金碧画
 礼の間  籬草花図 朝顔、鉄線
 室中の間 竹虎図 東:嘯虎、西:乳虎、眠虎
 檀那の間 四季花鳥図 東:梅に雉子、西:雪梅、南:雪柳、北:梅に山鳥・蔦
 裏(ヶ):水墨画
 衣鉢の間 山水人物図 東:竹林七賢、南:子猷訪戴、孔愉放亀、北:虎渓三笑
衣鉢の間 
山水人物図(水墨画)
仏間 書院の間
檀那の間 
(山楽と合作?)
四季花鳥図(金碧画)

室中の間 
竹虎図
(金碧画)
礼の間 
籬草花図(金碧画)
1632年43歳妙心寺桂春院襖絵「松に三日月図」
1632年43歳歴世大儒像 東京国立博物館、筑波大学付属図書館 林羅山の依頼
1639年50歳藤原惺窩閑居図 根津美術館 儒学者との交遊
1647年58歳妙心寺天祥院襖絵 1645年松平忠弘が父忠明のために創建
 明治1886年堂宇焼失…京都桃山片岡直温→1942年頃常田家→1957年頃流失
 「老梅図」 1975年メトロポリタン美術館 異様な巨樹
 「八仙祝寿図」 各166x116 1963年ミネアポリス美術館 老梅図の裏面
  劉海蟾(蝦蟇)、韓湘子(牡丹の花籠)、李鉄拐(鉄杖)、藍采和(横笛)、
  漢鍾離、呂洞賓(宝剣)、曹国舅(拍板)、何仙姑(蓮房)。岩座に寿老人
◎雪汀水禽図屏風 紙本金碧著色 個人蔵 各154.0×358.0cm
左隻:千鳥 女松 月 雪 竹 茅屋、右隻:鷗 翡翠 鶺鴒 男松 岩 雪 荒磯
 室町大和絵屏風の伝統 月夜 金銀、胡粉盛り上げを駆使した工芸的緻密さ
 晩年の代表作(別に奥平1629年40歳壮年期説、九条幸家発注、父兼孝喜寿祝い)
大通寺襖絵「山水図」「古木双鳩図」
長恨歌図巻2巻 アイルランド チェスター・ビーティー・ライブラリィ
武家相撲絵巻 長12m (財)日本相撲協会相撲博物館 永納奥書



参考書
下記「展覧会」欄にあげた各展覧会図録
日本美術全集 永徳と障屏画 辻惟雄/河野元昭/矢部良明編 講談社 1991年
武田恒夫 近世初期障壁画の研究 吉川弘文館 1983年
土居次義 水墨美術大系8巻 元信・永徳 講談社 1974年
長谷川等伯/源豊宗校註 等伯画説 1592年頃 和光出版社
源豊宗 元和寛永期における幾何学的構図形式 美術史50号 興以について
狩野山雪・永納 1678年序本朝画史、1819年続本朝画史 国会図書館蔵
 明治期 尚栄堂文永堂本
  1画原 2上古画録 3中世名品 4専門家族,雑伝 5画印
 明治刊本
  1総説、上古画録 2中世名品 3専門家族、雑伝 4皇朝名画拾遺 5皇朝名画拾遺

参考サイト
建仁寺 重要文化財「建仁寺障壁画」全50面の高精細複製の制作
 京都文化協会・キヤノン株式会社共同「綴プロジェクト」の一環として
2014年建仁寺八百年大遠諱記念事業「建仁寺方丈障壁画」高精細複製品の一般公開
京都の日本建築 京都寺院建築の画像と解説 増田建築研究所のページ

展覧会
開館120周年記念特別展覧会 海北友松
2017年4月11日〜5月21日 京都国立博物館
友松作品重要文化財全16件を全て公開するなど、初期作から代表作まで、史上最大規模の作品・資料で友松の生涯と画業に迫る。入場者数約16万5000人
桃山時代の狩野派 永徳の後継者たち
2015(平成27)年4月7日(火)〜5月17日(日) 京都国立博物館
狩野派史上最大のピンチにおちいった慶長年間前後に着目し、永徳没後、「豪壮」から「華麗」へ、さらに新たな為政者・徳川家に対応すべく、「瀟洒淡麗」へと画風を変えていく一大転換の過程を、永徳の後継者たちの作品を一堂にして辿る。「桃山後期」狩野派展として過去最大規模の国宝1件、重要文化財23件、重要美術品1件、初公開作品4件を含む70件を出品
特別展覧会 狩野山楽・山雪
2013年3月30日(土)〜5月12日(日) 京都国立博物館
(前期:3月30日〜4月21日/後期:4月23日〜5月12日)
山楽・山雪の作品を中心に、重要文化財13件、新発見9件、初公開6件を含む83件の展示   出品目録・展示替予定表 HTML PDF
 狩野山楽・山雪展公式サイト
開山無相大師650年遠諱記念 特別展「妙心寺」
2009年1月20日(火)〜3月1日(日) 東京国立博物館
2009年3月24日(火)〜5月10日(日) 京都国立博物館
狩野元信霊雲院襖絵、狩野山楽龍虎図屏風、海北友松花卉図屏風の妙心寺屏風など
国宝 三井寺展
狩野光信勧学院障壁画を2種の照明を替えながら展示
<大阪展>2008年11月1日(土)~12月14日(日) 大阪市立美術館
<東京展>2009年2月7日(土)~3月15日(日) サントリー美術館
<福岡展>2009年四月1日(水)~5月10日(日) 福岡市博物館
 国宝三井寺展公式サイト
生誕400年記念「狩野探幽」展
2002年10月19日-12月8月 東京都美術館
「雪中梅竹遊禽図襖」(名古屋城)「桐鳳凰図屏風」(サントリー美術館)「四季松樹図屏風」(大徳寺)「松鷹図」(二条城)などの代表作、「探幽縮図」「果疏草花図巻」など全105点(内重要文化財22点)(終了)
金碧の花 妙心寺天球院襖絵展
1991年 サントリー美術館(終了)




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 日本美術史ノート 水墨画の展開 永徳以降   2002.11写 

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