3月 2日(木)曇 『生命的編織』聾唖学生の作品
電視ではっとしたこと。
今日のCCTV4夜の番組、中国文芸のなかで、山東省中等特殊教育学校の聾唖学生28名の作品が、北京の中国美術館で『生命的編織』(1999年5月15日〜23日)という名で展覧された様子を伝えていました。
この展覧は、開催時もテレビに紹介されたり、話題になったようですが(その時まだ私は北京にいませんでした)、今日の番組はその展覧の準備の様子を追ったものです。
若い美術老師、郭専寧(写真)の指導のもと、山東省特産の青麻で編んだ高さ4m横20m重量2.5トンの巨大な《中華根》という共同作品(写真:テレビから撮ったため上下にムラがあります)や、石遠華という学生の《指紋》など独特で生命感にある作品が展示されました。
現代の芸術の一方の傾向は、近代ヨーロッパ油画の一つの作品に凝縮させる方法が解体した後、身体に戻って考える点にあると思いますが、その意味で五体の不満足な人は、身体を意識せざるをえない点で、現代芸術の象徴的な存在になりえます。
また心のどこかで不自由を強いられる現代の生活の中では、中世や近代の時代と違い、その不自由さの点で、五体の不自由さが私たちの心のメタファーになりえます。
近年あちこちで同様な展覧会が開かれている由縁でしょう。
しかしこんどの展覧に心動かされるのは、作品がずばりテーマにあるようかくも太くひとすじに直接的に生命感を表現していることです。このような直截了当な表現にはメインになる巨大な作品が必要だったでしょう。
現代の中国の良心といってはおおげさかもしれませんが、久しぶりに中国らしいよさにふれた一時です。